履歴書の賞罰に書くべきこと&書いてはいけないこと。範囲と具体例

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賞罰という言葉を聞いた事は多いでしょう。また転職活動を経験した方でエントリーシートや履歴書に賞罰の記載を求められた方もいるかもしれません。

文字通り賞と罰。賞をもらったことと罰を受けたことの報告を求められているのは分かりますが、何をどこまで報告するのが良いのでしょうか?また転職後も賞罰委員会という組織名も聞くことがあるかもしれません。

転職時の履歴書への賞罰の記載だけでなく、再就職後の知識としての賞罰委員会についても説明します。

履歴書に記載する賞罰とは何を意味するのか

賞罰とは読んで字のごとく、賞と罰。賞は受賞した賞、罰は受けた罰ということなのですが、転職時に記入を求められる賞は公に認められた賞、また罰は刑事罰などの罰歴があるかどうか、ということを採用する側は求めているのです。

賞をもらった履歴があれは、当然履歴書に記載する方がアピールにもなります。しかし罰についてはできれば書きたくない方がほとんどでしょう。

しかし、会社が指定する履歴書に賞罰欄がある場合や申告を求められた場合には必ず伝えましょう。賞罰について正しく申告を行っていない場合は、企業によっては経歴詐称や申告義務違反となり、内定取り消しや勤務開始後に解雇となる可能性も出てきます。

賞罰の記載を求められたらどこまで記載するべきか悩むことでしょう。実際に記載すべき範囲の賞罰について説明します。

「賞」で書ける範囲

営業成績で社内1位になったことなど記載したいかもしれませんが、残念ながら賞罰欄で求められている賞に値しません。

ここでいう賞とは全国や地方自治体、国際大会など、著名な機関から受賞の経験がある場合を意味します。大臣賞や全国レベルでのスポーツ大会での優勝、警察からの人命救助などが例として挙げられます。

それ以外の賞は賞罰欄に記載するのではなく、職務経歴欄で詳細を記載し、アピールするのが良いでしょう。

また、昔取った杵柄で学生時代の部活の成績などを記載したいと考える方も多いことでしょう。残念ながら、これらも賞罰欄の賞に値しません。学生時代の部活の実績などは受賞から時間が経過している事がほとんどであるからです。

どうしてもアピールしたい場合は趣味や特技を記載する欄でアピールしましょう。転職活動の採用の直接の決め手になることはないかもしれませんが、面接時の会話に役立つかもしれません。

賞として書ける 全国や地方自治体、国際大会など、著名な機関からの受賞。
例として大臣賞や全国レベルでのスポーツ大会での優勝、警察からの人命救助など
書けない
  • 営業成績で社内1位になった
  • →職務経歴欄で詳細を記載する

  • 学生時代の部活の成績
  • →趣味や特技の欄に記載する

「罰」で書くべき内容

賞罰の欄で求められる罰とは、懲役、禁固、罰金などの有罪判決を受けた刑事罰が該当します。当てはまるものがあれば、略さず記載しましょう。

書きたくない事実かもしれませんが、記載が必要な事項となります。特に転職先で運転を必要とする業務や物流業などの車両を扱う業種の場合は、道路交通法違反での刑事処分(罰金)や行政処分(免停)の履歴については記載した方が良いでしょう。

ドライバー職の場合は運転記録証明書の提出を求められることがほとんどです。この証明書には過去5年間の交通事故歴、交通違反歴、行政処分前歴階数、累積点数などが記載される為、隠すことができません。

特に酒気帯び運転で事故を起こした場合など、過失の大きい場合は業務上過失致死傷罪で禁固刑もしくは懲役刑に問われます。

スピード違反や駐車違反、一旦停止違反などの道路交通法違反の場合は、ドライバー職以外では履歴書にあえて記載する必要はありませんが、重過失の場合で履歴書への記載を行った場合は、面接時にも正直に話した方が良いでしょう。

賞罰記載要否 書く 書かない
線引き 悪質、重大事故人身事故(違反点数4点以上) 軽微な交通違反(違反点数3点以下)
切られる切符の種類 赤切符 青切符
反則金/罰金 罰金 反則金

上記が賞罰欄に記載すべきかどうかを判断する為の指標です。重大事故違反は罰となり、後で述べる効力失効後以外は賞罰の記載を求められた場合は記載が必要なのです。

交通事故に関しては、自動車を運転する以上、誰しも加害者となる可能性があります。起こしたことへの反省や、今後同様の事態を起こさない為の処置を取っているかどうかも面接時に説明できるように準備しておきましょう。

人間はミスを起こす生き物です。その事象に対してどう考え、どう対処し、この後どのように再発を防止し、罪を償っていったかという人間的な資質の方が重要なのです。

賞罰の履歴書への記載例

最近のJIS規格準拠の履歴書には賞罰欄が無いため、書く必要はありません。

しかし、会社指定の履歴書に賞罰欄がある場合や、就業規則に告知義務違反に関する記載がある場合もあります。また、面接時に問われる可能性もありますので、正直に告知しておくに越したことはありません。

賞の履歴書記載事例

20XX年XX月 第○会 XX国際スポーツ大会 準優勝
20XX年XX月 人命救助により消防署長から感謝状授与

罰の履歴書記載例

20XX年X月 道路交通法違反で罰金刑
20XX年X月 ○○罪 懲役○年 執行猶予○年終了

転職先の会社指定の履歴書に罰を記載する欄があり、該当するにも関わらず記載しなかった場合、告知義務違反となり、採用に響いてしまう可能性があります。

このような話は過去のメディア記事や人づてで採用担当者が知る事も大いにあります。

但し、特段の事情の無い解雇は無効との判例もあり、重要な経歴詐称でない限り、すべてのケースで解雇されるという事ではありません。

また、刑事犯罪で有罪が確定し、罰金刑以上が科せられた場合、前科調書に名前が残り、検察庁に保存されます。しかし、再び罰金刑以上の刑を受けないで一定期間を経ると刑の言い渡しの効力が消滅したという事になります。

  • 懲役刑・・・浮く役し、刑期が満了してから10年以上経過した時
  • 執行猶予・・・執行猶予期間が終わったとき
  • 罰金刑・・・支払い後5年以上経過したとき

上記の様に効力が消失した前科、前歴に関しては、就職の際に告知義務がなく、前科の存在が労働力の評価に重大な影響を及ぼさない限り、それを理由に解雇することはできないという判例も存在します。

よって、履歴書に記載する前に刑の効力が消滅しているか否かを確認しましょう。消滅している場合はあえて書かないという選択肢も取る事ができます。

賞罰を英語で表現することとなったら

英語で賞罰はReward and Punishmentと記載します。外資系メーカーへの勤務や海外メーカーへの転職を考えている方は英文レジュメと呼ばれる英語で記載された履歴書を準備します。

その内容に日本語でいうところの賞罰の記載の必要があるかと言われると、求められることが少ないと言えます。

英文レジュメはA4サイズの用紙にこれまでの経歴、学歴、キャリアなどを簡潔に書くものです。趣味、特技などは任意で記載します。

日本以上に性別や年齢などで不採用とする事を良いことだとしない海外メーカーでは、年齢とすら求められない事もあります。

よって、限られたサイズの英文レジュメの中に賞罰まで盛り込むことは考えなくても良いでしょう。特筆したい賞があれば、趣味や特技として軽く触れ、罰はあえて書かなくても問題ありません。

但し、万が一質問された場合の答えとしては賞の実績を優先し、準備しておきましょう。

会社における賞罰委員会とは

ここまでは履歴書の記入欄における賞罰の解説でした。ここからは、「会社における賞罰」を説明していきます。これは転職時に求められる賞罰の記載内容と意味が異なり、就業規則に抵触しないかどうか、というところの賞罰となります。

まず、賞罰員会という言葉を会社内で聞いたことがある方も多いかもしれません。

賞罰委員会(別名懲戒委員会)とは、社内の規律を維持するため、会社が任意に設置する機関だと言えます。委員会の設置に法定要件はなく、客観性を確保する為の機関です。

このため、設置に関して法的な義務付けはありません。また委員会という名称がないとしても、簡易的に社会保険労務士の有識者から意見を聞く場を設けることはあります。

賞罰委員会の設置の目的

  1. 処分に関して、適正な内容により処分の健全性を確保する
  2. 懲戒権の濫用となる事無き用、処分内容を確認し、労働紛争を予防する
  3. 事実関係を確認し、処分実施の正当性を確認する
  4. 公正性の確保を行い、処分内容の公平感を確保する

会社の賞罰規定と就業規則

労組の強い企業では賞罰委員会の規定が誠意されています。会社の就業規則に照らし合わせて処分に該当するのかどうかを検証する為のプロセスが機能しているのです。

実際に処分の対象となるかを判断する会社の賞罰員会で経るプロセスが下記となります。

根拠規定の有無
前提として懲戒の事由と処分の種類や程度が就業規則に明記されている事
懲戒事由への該当性
具体性に欠いた曖昧な規定の場合、就業規則のどの条項に該当するかどうかが争われ、会社側が敗訴するケースもあります。
懲戒の相当性
形式的に懲戒事由に該当したとしても、社会通念上相当なものと認められない場合は無効と判断されるのです。手続きに適正さを欠いている場合、処分の有効性が認められない場合も発生します。

転職を成功したいなら、賞罰の表記も分別を

話しは戻って履歴書の賞罰についてですが、転職時には少しでも自分をアピールし、採用してもらうことが目的となります。よって、賞で大きく取り上げてもらいたいものは記載することは必須です。

罰に関しては、正直に申告するのが必ずしも良いとは限りません。説明したドライバー職種に該当するかどうかを考え、それ以外の場合は記載の必要のない軽微な交通違反や効力が消滅したものは記載を避けましょう。

どうしても記載する必要のある刑事罰に関しては、記載した上で、発生の背景や解決に至った経緯などを説明し、業務や人間性そのものに問題がある訳ではないことを説明しましょう。

正直なのは大変良いことではありますが、転職を成功させたいのであれば、罰に関しては分別し、不利にならない様に伝えることも大切なのです。

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