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面接で活きる敬語力。日本サービスマナー協会 渋谷講師インタビュー
この記事の専門家
渋谷 亜佐子講師
NPO法人日本サービスマナー協会
面接では、面接官に対して失礼のない、正しい言葉遣いが求められます。
しかし、緊張していたり、普段使い慣れていなかったりして、面接では間違った敬語をうっかり使ってしまうことも少なくありません。敬語は間違えやすい、自信がないと感じる人も多いようです。
今回は、敬語に苦手意識を持つ方の面接対策として、NPO法人日本サービスマナー協会のマナー講師、渋谷さんにお話をうかがいました。
▼目次
日本サービスマナー協会マナー講師、渋谷さんにインタビュー
ホテルや航空会社といったワンランク上の接客サービスが求められる業界への研修から、一般企業向けの社員研修や就職活動向けのビジネスマナー教育を行っているNPO法人日本サービスマナー協会。
多くの優秀な講師陣から、本日はビジネスマナー研修を担当されている渋谷講師に「面接での敬語」についてお答えいただきました。
面接で活かせる敬語フレーズ
さっそくですが、面接というシーンで活かせる、「これだけは覚えておいて!」というような敬語のフレーズにはどのようなものがあるでしょうか。
次のようなフレーズは自然に言えるようになるといいですね。
- 本日は、お忙しいのにもかかわらず貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
- ○○様のおっしゃることに、大変感銘を受けました。
- 私(わたくし)は○○を得意としております。
- ~につきましては、御社の資料を拝見しました。
- 御社の~においても、お役に立てると考えております。
- 御社の~についてお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。
- お差し支えなければ、~していただけると幸いに存じます。
使ってしまいがちな間違い敬語フレーズ
(誤) | (正) |
---|---|
おっしゃられた通りです | おっしゃった通りです |
お時間はよろしかったでしょうか | お時間をいただいてもよろしいでしょうか |
○○様はおられますでしょうか | ○○様はいらっしゃいますでしょうか |
○○の方はどうなさいますか | ○○はいかがなさいますか |
どちらにいたしますか | どちらになさいますか |
資料を送付していただけますようお願いします | 資料をご送付くださいますようお願いいたします |
面接で意識したいのは敬語だけではない
また、質問を受けたにもかかわらず、面接官の目を見ずに話すのもマナー違反となり、マイナスの印象を与えてしまいます。
また、楽しい話のときは楽しい表情で明るく話すなど、話す内容・話し方(敬語)・表情・声のトーンを一致させることで気持ちが伝わりやすくなります。
敬語の練習方法
尊敬語は目上の人の行動や状態に敬意を表す表現なので、話す際の主語は「目上の人(面接官)」です。一方、謙譲語は自分の動作や状態を謙って表現するので、話す際の主語は「自分」です。
例えば動作の「話す」で考えてみましょう。尊敬語は目上の人が主語なので「○○様がおっしゃる」と表現します。一方謙譲語では、自分が主語なので「私(わたくし)が申し上げる」と表現します。
このように、普段の生活の中で誰の動作なのかを考え、主語のあとに敬語表現をつけて話す練習をすることで自然と身につきます。
面接で敬語を間違ってしまったときの対応
あえて話を中断して間違いをそこで強調するフレーズを挟む必要はありません。
但し、間違いに気づいても緊張のあまり正しい表現が思い浮かばなかった場合は、間違いに気づいたことを伝える意味で「失礼いたしました。これからもっと勉強して参ります」など、真摯な気持ちで前向きな発言をすると向上心が感じられ、マイナスのイメージを残すことはないでしょう。
面接で緊張していることは面接官の方もご理解なさっています。大切なことは間違ったことをそこで引きずらず、気持ちを切り替えてハキハキと熱意をもって伝えることです。
敬語について悩む方へメッセージをお願いします
また、敬語表現は型が決まっています。難しく考えずに、表現のパターンをしっかり覚え、積極的に実践で使うようにしてみましょう。
誰でも最初から上手な敬語が使える訳ではありません。敬語は使う機会を多く持つことで上手になっていくものです。
その敬語表現を使うことで相手に好印象を与え、信頼関係を築くことができます。
また、様々な人とのコミュニケーションが可能になることで、自分に自信を持てるようになります。
敬語の持つ魅力を大いに活用し、ワンランク上の自分を目指しましょう。
敬語に対する不安感が払しょくできれば、面接にも全力で臨めるし、何より自分自身の大きな自信につながりますね。本日はお忙しいのにもかかわらず貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!(さっそくフレーズを使う編集者)
面接における敬語の重要性は?求職者と企業側のアンケート
面接も大切なビジネスシーンのひとつです。そのため、面接を受ける人にも基本的なビジネスマナーが求められるのですが、自身のマナーに自信の持てる人はそれほど多くないものです。
ビジネスマナーには動作、立ち振る舞い、接客マナーなどがあります。株式会社アイデムがおこなったアンケート調査によると、ビジネスマナーの中でもっとも苦手とされているのは「言葉遣い」という結果が出ていました。(参照:株式会社アイデム「ビジネスマナーに関する意識調査(1)」回答者は10代以上が対象)
では、言葉遣いや敬語に不安を持っている人はどのくらいいるのでしょう。また、面接では敬語の使いかたがどれくらい重視されるのでしょうか。敬語や言葉遣いに関するアンケートの調査をいくつかチェックしてみました。
新社会人の6割が言葉づかい・敬語に「自信なし」
マイナビが新社会人を対象におこなったアンケート調査によると、新社会人の6割が「敬語に自信がない」とも答えていました。
(参照:マイナビ【新社会人白書2017】)
その理由としては「敬語を使う機会がなかった」「正しい敬語が使えているか不安」などの声が挙がっていました。
実際に「インターンシップ中、敬語の使い方がわからなかった」「アルバイトの面接で困った」など、就活中に敬語で失敗を経験している人は非常に多いようです。
面接では言葉遣いのミスをしがち
リクナビが新社会人1~5年目の人を対象におこなったアンケート調査によると、8割が「面接に失敗したと感じたことがある」と答えていました。
面接中の失敗では「的確に話せなかった」「緊張してうまく話せなかった」など、伝え方や言葉遣いの失敗が意外に多いようです。
たとえば、面接では敬語のこんな失敗をしてしまったという声も聞かれました。
・普段敬語を使わないので、敬語を使うことに気をとられ過ぎてしまい、肝心なことがほとんど言えなかった。
・「丁寧に話さなければ」と思い尊敬語を二重三重に並べていたら、自分でも正しい言葉遣いなのかよくわからなくなってしまった。
・役職に様は付けなくてよいが「課長様」と呼んでしまった。さらに「部長殿」と殿を付けてしまい仰々しくなった。
・御社(おんしゃ)を「ごしゃ」と言ってしまった。
・体育系で「~っす。」「あざっす。」がしみついて「です。」「ありがとうございます。」が言えていない。
こうした間違いは内定が取れたら笑い話になるけれど、不合格になった場合は「もっと敬語を勉強しておけばよかったな」と後悔することになりそうですね。
敬語の勉強は必要と考えている人が多い
マイナビ「学生の窓口」が公開しているアンケート結果に見ると、回答した若手社員の皆さんは「入社式までに身につけるべきマナー」として、あいさつや基本的なパソコンスキルのほか、敬語が大切と答えていました。
(参照:マイナビ学生の窓口フレッシャーズ「新入社員が入社式までに身につけておくべきだと思うマナー」)
敬語が大切な理由として「敬語は思ったように話せないことがあるから、しっかり覚えておくべき」というコメントがあります。面接経験者の声は貴重ですね。
正しく使えない人は不利?企業側は敬語をどれくらい重視しているか
では、企業は面接で求職者の言葉遣いをどれくらい重視しているのでしょうか。
就職ジャーナル(株式会社リクルートキャリア)が紹介しているアンケート結果によると、人事担当者の約7割が「学生のマナーや敬語が気になる」と回答していました。
さらに「気になることがある」と答えた人を世代別に見ると、世代が上がるほどマナーや敬語を気にする傾向がうかがえました。(参照:「就職ジャーナル」人事1304人に聞いた 「学生の敬語・マナーで 気になることはある?」)
では、敬語が正しく使えていない求職者は、やはり面接で大きく不利になってしまうのでしょうか。
マイナビが行っているアンケート調査では、企業が特に面接時に最重視するのは「明るさ・笑顔、人当たりの良さ」であり、続いて「入社したいという熱意」「素直さや伸びしろ」を重視するという結果が出ていました。
(参照:マイナビ「2019年卒マイナビ企業新卒採用予定調査」面接時に特に注視するところ)
このアンケート結果から、企業は「人柄」「熱意」を特に重視していることがわかります。そして15項目中の6位に「言葉遣い・態度」が挙がっていました。
言葉遣いは、人柄や熱意ほど重きを置かれていないことから、言葉遣いや敬語のミスが採用の可否に直接結びつくとは考えにくいです。少なくとも「敬語をひとつでも言い間違えたら不合格!」といった厳しいチェックはないものと思われます。
アンケート結果を見わたすと、企業は求職者に対し「知識」「自頭の良さ」「優秀な人材かどうか」よりも、人柄、言葉遣いといったコミュニケーション能力を強く求めているところが大変興味深いです。
企業は、相手が心地良いと感じるコミュニケーションのできる人、つまり人柄がよく言葉遣いがきちんとできている人を求めていることがうかがえます。
明るくバイタリティにあふれていても話すときに「~っす!」が口ぐせになっている人、いくら言葉遣いが美しくてもぼそぼそと話し方が暗い人などは、ビジネスシーンで気持ちのよいコミュニケーションができているとは限らないのですね。
特に敬語は苦手とする方が多く、うっかり間違えてしまう人も多いようなので、面接に向けては正しい敬語を勉強し、気持ちのよい伝え方を身につけておく必要がありそうです。
NPO法人日本サービスマナー協会の活動内容を紹介
最後に、今回のインタビューにご協力いただいたNPO法人日本サービスマナー協会をご紹介いたします。
NPO法人日本サービスマナー協会は、一般企業や個人を対象にビジネスマナーや接客のサービスマナーの研修や教育を実施している特定非営利活動法人。
カリスマ講師が在籍し、テレビ番組や新聞などのメディアで数多く紹介されているので、ご存知の方もいらっしゃるのではないかと思います。
2008年の設立から、東京、名古屋、大阪、福岡の各拠点で幅広いサービスを展開しています。またビジネスシーンで役立つ検定試験を各種実施しています。
敬語力検定
NPO法人日本サービスマナー協会は、随時インターネット上で「敬語力検定」を実施しています。
敬語力検定は、尊敬語、謙譲語、丁寧語を適切に使い分け、正しい敬語表現ができるか「敬語力」を判定する検定試験です。
いつでもご都合のよいときに好きな場所で、パソコンやスマートフォンから受験でき、気軽に挑戦していただけます。
問題は制限時間30分で100問出題され、その場で結果がわかります。 結果は、合格/不合格で判定されるのではなく、点数によって4級、3級、2級、準1級、1級の5段階に判定されます。
そして、敬語力検定を取得すると、履歴書に「NPO法人日本サービスマナー協会主催 敬語力検定 〇級合格」と記載でき、敬語のマナーが身についていることが証明できるので、面接を受ける予定のある方にはぜひおすすめです。
気軽に受験できるテストでありながら内容は本格的で、力試しをしたい方も面接対策をしたい方も手ごたえを感じるはずです。
「どんなテストなんだろう?」と興味を持たれた方は、まずはウェブサイトにあるサンプル問題(無料)に挑戦してみてください。
社員研修
社員が基本的なビジネスマナーを身につけるための合同研修、さまざまな業種を対象とした出張研修、部下の手本となるリーダーを養成するためのリーダー研修など、多彩な社員研修プログラムを提供しています。
セミナー・公開講座
ビジネスシーンで相手の方に好印象を与える立ち振る舞いや話し方のセミナー・講座を実施しています。
- 正しい敬語・美しい日本語 話し方講座
- ビジネスマナー研修
- 電話応対研修
- 接遇マナー研修
- クレーム応対研修
- 魅力アップ!美しいウォーキング&笑顔講座
- パーソナルカラー講座
- マンツーマン・プライベートレッスン(話し方講座)
自分を魅力的に演出するための実践的なスキルが身につくので、接客サービスに携わる方はもちろん、就活・転職活動中の方の面接対策にもおすすめです。
認定資格講座
マナー教室の運営や専門分野の講師として活動するための認定資格講座を実施しています。
- マナー講師養成講座
- コーチ養成講座
- メンタルヘルスアドバイザー養成講座
- ファシリテーター養成講座
- アサーティブコミュニケーター養成講座
最終的には、プロフェッショナルマナー講師養成講座を終了しプロフェッショナルマナー講師試験に合格することで、日本サービスマナー協会公認の講師として登録でき、日本サービスマナー協会の講座の講師へキャリアアップすることが可能となります。
各種サービス調査
専属調査員が、企業様の視察調査、電話調査を行い、サービスマナーのチェックとフィードバックをおこないます。
検定試験
NPO法人日本サービスマナー協会は、敬語力検定のほかにも、ビジネスシーンや就職・転職活動に役立つ検定試験を実施しています。
その中のひとつ接客サービスマナー検定では、幅広い業界でニーズが高まってきているワンランク上の接客サービスマナーを、トータルで判定することができます。
取得するとサービス適性を身につけていることが証明でき、エアライン業界など高度な接客スキルが必要な業種での就職が有利になります。個人受験、または学校や企業での団体受験が可能です。
敬語力検定、その他のご活躍内容について詳しくは、NPO法人日本サービスマナー協会のサイトをご覧ください。
付け焼刃ではなく、普段から敬語に慣れておくことが大切
日本語のあり方は時代とともに変化していますが「伝統的な美しい日本語として敬語は大切にされるべき」という考えの人は、むしろ増加の傾向にあるようです。
普段から敬語に自然に親しみ、場面に合った使い分け方をする力が身についていれば、その時代に合った感じの良い言葉遣いができるのではないかと思います。
しかし、敬語を使い慣れていない人が急に敬語を使おうとすると、ぎこちない言い回しになってしまい、普段使っていないことがばれてしまうかもしれません。
ビジネスシーンで正しい言葉遣いが要求されたとき、敬語がスマートに使えるよう、意識して敬語の正しい表現を身につけておきたいものですね。
今回インタビューでうかがったアドバイスを参考に敬語力を磨き、ワンランク上の言葉遣いを目指しましょう。
渋谷 亜佐子講師
NPO法人日本サービスマナー協会
専門:ビジネスマナー/美しい日本語と話し方/サービス接遇マナー/医療接遇/電話応対 クレーム応対/就職対策/面接対策
(本記事の情報は2019年8月時点のものです)