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転職の時期と住民税の支払い。給与から天引きされない時の手続きとは
日頃の給与から天引きされている、各種の税金。働いている間はあまり気にすることのないこれらの税金について、どうしても考えざるを得なくなるのが、転職をした場合です。
雇用保険や社会保険に関しては、会社から書類を記入して提出するように言われるために、気がつくと手続きが終わっていたというケースも少なくありません。しかし、問題なのが住民税です。
そのままにしておくと会社から天引きされず自宅に請求が来たり、また、退職してから転職するまでの間の支払いはどうなっているのかわかりにくかったりして、困ってしまいますよね。
そこで会社を転職した際、住民税をどのように扱ったらよいのかをまとめました。
▼目次
これっていつの分の税金?住民税を支払う仕組みの基本
まず大前提として知っておきたいのが、住民税の課税の仕組みです。
例えば雇用保険料は毎月の給与額からその都度計算され天引きされますが、住民税の場合は前年1年間の所得によって既に税額が決まっています。そして、1月1日時点で住んでいる土地の自治体に対して、6月から支払うことになります。
2017年の分の税金を2019年に払うというように、最大で2年半近くのラグが生じることに注意しておいて下さい。
この仕組みを踏まえた上で、転職した場合の住民税について考えてみましょう。
退職前~転職直前までの住民税の支払いの流れ
それぞれの自治体は、毎年6月が近くなると、納税者が勤めている会社に「この従業員はこれだけの所得があり、住民税をこれだけの金額支払う必要があるので、給与から天引きして下さい」という通知を送ります。
会社はその通知をもとに、それぞれの会社の従業員の給与から住民税を天引きし、自治体に代わりに納付しています。
しかし、退職してしまえば、当然給与から住民税を天引きすることができません。
そこで、会社は状況に応じて次のうちどちらかを選択します。
B.自治体に従業員が退職したことを通知し、残りの住民税に関しては関知しない
一般的に、1~5月までの退職ならA、6~12月の退職ならばBになります。
また、Bの場合でも、自分から退職前にあらかじめ会社に「退職するので、残りの住民税をまとめて天引きしておいて下さい」とお願いすることで、Aのように最後の月の給与から住民税を一括で支払うことが可能です。
Bの場合は、住民税の支払いがストップしてしまうため、当然会社から納付を受けられなくなった自治体は、納税者の自宅に住民税の納付書を郵送します。
納付書が送られてきたら、納税者は自分で納付書を使ってコンビニエンスストアなどで住民税の支払いを済ませれば、ひとまずその年の支払いは完了となります。
退職後~転職後の住民税の支払いの流れ
会社を退職した場合、会社は当然、自治体に「この人は退職したのでうちの会社にはいませんよ。次からはうちではなく、直接本人に請求して下さいね」と通知します。
すると自治体は、その通知に従い、次の請求からは毎年6月になると、納税者の自宅に納付書を郵送するようになります。
もしも、そのままでよければそのまま納付書に従って、自分で納付すれば問題ありません。
しかし、会社から天引きしてもらいたい場合は、この納付書を使って手続きが必要です。
転職後の会社に住民税を天引きしてもらいたい場合、この納付書を会社の経理に提出し、「この納付書以降の住民税を、全て会社の給与から天引きするようにして下さい」と一緒に伝えます。
また、万一納付書の支払い期限を過ぎていた場合、その分に関しては会社に依頼することはできないので、自分で市役所に出向いて支払うことになります。
納付書を会社に提出すると、会社が自治体に対し、「この人はうちの会社に新しく入ったので、次からはうちに通知を送ってください」と伝えてくれます。すると、手続きが終わり次第、会社の給与からの天引きが始まります。
退職後、次の会社が既に決まっている場合は簡単!
転職の場合、在職中に既に次の転職先が決まっており、退職後、間を開けずに次の会社に移るということもありますよね。
実はこの場合は、在職中にそれぞれの会社に「転職後の会社でも住民税を天引きしてもらいたいので、手続きをお願いします」と伝えておくことで、転職先の会社ですぐに住民税を天引きしてもらうことができます。
このことを「特別徴収の継続」と言います。
ただし、在職中の会社と、転職先の会社がやりとりをすることになるため、退職日が迫っていると間に合わない可能性もあります。また、退職理由によっては難しいかもしれません。
間を空けない転職で、円満退職であるのならば、この方法が一番簡単です。
天引きされていない場合、まずは納付書が郵送されてくるのを待とう
転職して、新しい会社の給与から住民税が天引きされていないと、「あれ、もしかして未納になっているんじゃ……?」と焦ってしまいますよね。
しかし、毎年年末調整あるいは確定申告を確実に行っていれば、自治体から必ず納付書が送られてくるはずです。そのため、知らない間に長期間未納になっているということはありません。
ただし、まれに会社が手続きを忘れていて天引きされていない、というようなこともあります。
1~3カ月程度であれば、手続きの関係上仕方ありませんが、もし何カ月経っても天引きされず、納付書も送られてくる様子がないという場合は市役所に問い合わせて見るとよいでしょう。
意図的に未納状態にしているわけでなければ、市役所も寛大に対応してくれますので、焦らず待つことが大切です。
引っ越しても、住民税の手続きは変わらない
また、気になるのが転職と共に引っ越しした場合ですが、こちらも特に手続きの流れは変わりません。
住民税は引っ越そうが転勤しようが、あくまでその年の1月1日時点で住所のあった自治体から請求が来ます。
北海道の札幌市から沖縄の那覇市に引っ越しても、沖縄の自宅あるいは沖縄での勤務先の会社に対して、北海道の札幌市から請求が来ます。
また、引っ越した年には北海道の会社と沖縄の会社、2つの会社から給与が出ることになるので、年末調整時に両方の会社での給与を合わせて申告するはずです。
2つの給与を合わせた所得から計算された住民税が、翌年1月1日に沖縄の那覇市に住んでいれば、今度は那覇市から請求が来ます。もう札幌市には支払わず、それ以降引っ越すことがなければ那覇市に支払い続けることになります。
どこの都道府県にある会社から収入を得たかは問題ではなく、あくまで住民税は1月1日に住民票のある自治体から請求が来ます。引っ越した場合は混乱しないためにも、すぐに転入届を出して住所を移しておきましょう。
すぐに転職が決まらない場合、住民税の額に注意!
会社を退職、また転職した時は、住民税の額や貯金には充分注意しておきましょう。
ということは、退職や転職で無収入、あるいは給与が減ったとしても、前の年に稼いだ額に応じた住民税の請求が来ます。
極端な話、年収1000万円稼いでいたのに、失業して派遣についたので年収200万円になってしまったという場合でも、容赦なく1000万円分の請求が来るのです。
そこまではいかなくとも、住民税の税率は高くて負担になりがちです。
しかも、転職によって一旦会社からの天引きではなくなると、自分で納付することになりますが、この時支払い回数が一括払いか、4回払いかのどちらかになります。
給与から天引きなら毎月引き落とされるために12回払いなので、1回に支払う金額の負担が全く違います。いざ支払いが来ても払えない、ということのないように、お金の管理をしっかりしておきましょう。
どういう意味?特別徴収と普通徴収を知っておこう
住民税を語る上で欠かせない用語に、特別徴収と普通徴収というものがあります。
これらはそれぞれ住民税の支払い方法のことで、
- 特別徴収
- 会社の給与から天引きされること。6月~翌年5月までの12回払い。給与所得者は原則として全員該当する。
- 普通徴収
- 会社を通さず、自治体から送られてくる納付書を使って自分で支払うこと。一括、もしくは年4回払い。退職して無職の人や自営業者など、給与所得者以外が全員該当する。
というように分かれています。これらの用語は会社で手続きをする上でもよく出てくる用語になるので、覚えておくとよいでしょう。
転職後、会社の給与から住民税が天引きされているかどうかを確認しよう
実は以前は、自分で納付書を使って住民税を納めるか、それとも会社に天引きしてもらうかを選ぶことができました。しかし、未払いなどを防ぐために、最近では給与所得者の住民税は、原則として会社からの天引きとなっています。
そのため会社の方も心得ており、新しく社員が入った場合は特に社員が手続きをしなくても、会社の方で住民税に関しても自治体への手続きを済ませてくれることが多くなっています。
このため、特に自分で意識しなくても、会社から言われるままに書類を記入して提出するだけで、気がつけば住民税についても手続きが済んでいた……というケースがほとんどになります。
しかし、たまに一向に住民税の天引きが行われないことがあるので、転職をしたら給与明細をしっかり確認するのがよいでしょう。
また、天引きされていない場合は、しばらくすれば必ず自宅に納付書が送られてくるはずです。納付書があれば未納分も支払えますし、天引きに切り換えることもできますので、落ち着いて到着を待ちましょう。
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