【保育士の給料】年代・地域別平均年収。低賃金が保育士不足の原因に

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「小学生女子の将来なりたい職業」で常に上位にランクインしているのが保育士。

大切なお子さんを預かってその成長を毎日見守り、親御さんには感謝される大変やりがいのあるお仕事です。

ただ給料が低いため保育士を辞めてしまう人が多く、保育士不足から待機児童が減らない問題が深刻化しています。

保育士の給料の相場、給料が低い理由、どうすれば給料アップできるかについてまとめました。

保育士の年収は平均より低い?その理由は

保育士の推定年収は、平成28年で約326万円とされています。

給与所得者の平均年収は422万円ですから、残念ながら保育士の年収は高いとは言えません。さらに保育士の収入を男女別に分けて見てみると、次のようになっています。

▼平成28年 保育士と給与所得者の推定年収

平均年齢
(歳)
勤続年数
(年)
月額給与
(円)
賞与
(円)
年収
(円)
女性 36.3
(46.1)
7.8
(9.9)
22万2千 58万4千 324万8千
(280万)
男性 31.3
(45.9 )
6.2
(13.5)
24万8千 65万8千 363万4千
(521万)

()内は給与所得者

※厚生労働省「平成28年 賃金構造基本統計調査」保育士(保母・保父)のデータより
「きまって支給する現金給与額」を月収とみなし、その12か月分に「年間賞与その他特別給与額」を加えて推定される年収を算出したもの

※給与所得者のデータは国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査結果について」を参照

保育士の年収を給与所得者全体と比較すると、女性保育士の年収は水準を上回っていますが、男性保育士の年収は水準に達していないことがわかります。

保育士は、就業時間が長く、園児を預かっている間は常に体力も神経を酷使し続ける、負担の大きな職業です。「きつい割には収入が少ない」と言われ続けてきました。一番の理由は、そもそも保育士の給料が安く設定されている点にあります。

保育士の給料が安い理由
  • 歴史的背景
    (「保母は子守りの延長」という価値観から給料が低く設定されていた)
  • 保育園の大半を占めている私立保育園の運用費が少ない
  • 昇給するまでに保育士を辞めてしまう人が多い

また、ほかの職業に比べて仕事の負担が大きく離職率が高いことも、保育士の平均年収が低くなってしまう原因になっています。

では、保育士の給料はどれくらいなのか、相場について少し詳しくチェックしてみましょう。

保育士のほとんどは民間(私立)保育園に就職しており、給料が低いと言われているのは民間の保育士が対象になっています。また、保育士の95%は女性であるため、当記事では民間の女性保育士を中心に説明をしていきます。

保育士の給料を年代ごとにチェックして見えてくることは

保育士の給料は18万円前後でスタートし、年功序列型で徐々に給料が上がっていきます。保育士(女性)の平均的な給料は22万円ですが、キャリアを積んだ保育士の中には月に30万円以上の給料をもらっている人も多くいます。

しかし、保育士の離職率は10%と高く、保育士全体の半数が勤続年数7年以下です。全体的に、キャリアが浅くまだ昇給していない状態の保育士が多いのです。

もともと民間の保育士は給料が低く設定されていることも関係していますが、昇給するまでに退職してしまう人が多いため、データをとった時には保育士の平均収入が低く反映してしまいます。

実際に保育士の給料は、年代ごとにどれくらいの金額になっているのか、年齢階級ごとのデータをまとめました。

▼民間の保育士(女性)の年齢階級別の給与(平成28年)

  

年齢階級 月額給与
(平均)
賞与
(平均)
年収
(平均)
年収の相場 労働者数
20~24歳 18.8万 34.9万 261万 223~288万 5万7千人
25~29歳 20.4万 58.1万 303万 254~309万 4万3千人
30~34歳 21.5万 59.2万 317万 238~342万 3万6千人
35~39歳 21.7万 65.8万 326万 219~365万 2万7千人
40~44歳 23.3万 74.6万 354万 251~390万 2万6千人
45~49歳 22.8万 67.8万 342万 225~391万 1万9千人
50~54歳 23.1万 66.5万 344万 211~384万 1万9千人
55~59歳 24.6万 73.1万 369万 244~408万 1万7千人
60代 26.4万 81.2万 398万 235~434万 8千人
70代 30.8万 87.2万 457万 262~471万 280人

※厚生労働省「平成28年 賃金構造基本統計調査」保育士(女性)の年齢階級、経験年数ごとの給与データを元に編集(短時間労働者は除く)

20代・保育士の給料

保育士で最も多い世代が、新卒で保育園に就職したフレッシュな20代です。体力があるので毎日元気な子供たちを相手に働くにはぴったりですし、実際に保育士としての需要も高くなっています。

初任給は18万円前後で、全産業の初任給と大体同じくらいです。ただしまだ新人レベルなので給料はそれほど上がらず、年金や保険などを差し引くと、手取りは15万円以下になってしまうことがほとんどです。

新人の頃は、覚えることがたくさんあって毎日が大変な割に、手取りが少ない仕事です。

保育士に憧れて資格を取り、意気揚々と保育士デビューする人も多いと思うのですが「自分には向いていない」と現実とのギャップを感じ転職してしまう人も少なくありません。

特に採用されて1年目は悩むことも多いかも知れませんね。
保育士1年目の注意点。理想と現実のギャップを乗り越えるために

30代・保育士の給料

20代から仕事を続けてきた人は、中堅と呼ばれるクラスに入っていきます。

また、30代は、結婚や出産を機に保育士を辞める人、転職する人、または新しく保育士の仕事を始める人など、さまざまな選択肢がみられる時期です。

保育士は離職率が高い職業と言われるように、20代前半から保育士を続けている人の割合は次第に減っていきます。10年以上勤続している保育士は全体の6割程度です。一方で、30代に入ってから保育士になったキャリアの浅い人も目立っています。

保育士の基本給は年齢を重ねてもそう大きくは増えないのですが、それでも30代になると、キャリアを積んできた人とそうでない人に給与の差がつき始め、この頃からは役職について昇給する保育士が出てくるようになります。

主婦が就職する場合、非常勤(パートや臨時職員)を選べば、給料は正規雇用者より安くなりますが、マイペースに働いて上手に家庭と両立していくこともできます。

40代・保育士の給料

勤続年数が20年以上になると主任保育士、園長などの役職につく保育士も増えてきます。昇格に応じて給料もぐっと上がります。

また、家庭に入っていた女性が子供の手が離れたため、資格を活かして保育園に再就職するケースもみられます。

データを見ると、同じ40代でも、勤続年数が10年以下の人の給料は20万円前後、賞与は50万円以下ですが、ベテランになると給料は約25万円、賞与は80~90万円と、大きな差がつくことがわかります。

女性の40代は働き盛りで収入がピークになる時期で、保育士の中でも40~50代に収入がピークへ達する人が多くなります。

ちなみに、正規雇用されている給与所者の場合、40代女性の平均年収は433万円です。(国税庁「民間給与実態統計調査結果」平成28年のデータによる)

対して、40代の女性保育士は正規雇用で働いても年収400万円を超えることは難しいことが多く、保育士の年収は決して高いとは言えないことがうかがえます。

保育士・50代の給料

50代以上の保育士は、ほとんどが勤続年数10年以上のベテランで、それなりに給与も高くなっています。

もちろん40代後半以上の保育士の需要もあるので、保育士の仕事を離れていた主婦が復職し、子育て経験を活かして活躍することも可能です。

保育士・60代以上の給料

60代以上になると保育士の数は減りますが、この年代で保育士をしている人は園長クラスの人が多いので、ほかの世代より収入が高くなっています。

長く働いて昇給を狙うのがコツ

平成29年4月から、保育士には、新しく「副主任保育士」「専門リーダー」という役職が設定されました。

それまでは、勤続20年で主任保育士、25年で園長、というのが保育士の一般的な出世スタイルでしたが、主任保育士の前に、勤続年数が7年以上で副主任保育士、専門リーダーの役職に就けるチャンスがうまれたのです。

役職に就く前に退職してしまうと給料が低いままで終わってしまいます。今後は国や自治体による保育士の処遇改善も期待されるので、モチベーションを高く持って保育士を続けていきたいものです。

人気は公務員保育士!狭き門の公立保育園と私立保育園の格差

保育園には、自治体が運営している公立保育園と、社会福祉法人などが運営している私立保育園があります。

公立保育園の保育士は地方公務員にあたり、高収入で安定しているため、保育士の就職先としてはやはり、民間よりも公立保育園の人気が高いです。

しかし、全国にある保育園の約7割は私立保育所ですから、公立保育園の保育士はそれほど求人が多くかかりません。それだけに公立保育園への就職は狭き門となっています。

▼私立保育園と公立保育園における保育士の給与月額と勤続年数

私立保育園
常勤
私立保育園
非常勤
公立保育園
常勤
公立保育園
非常勤
施設長 52.9万
(23年)
20.3万
(5年)
59.4万
(30年)
30.3万
(14年)
主任保育士 39.7万
(20年)
17.1万
(8年)
51.9万
(22年)
38.9万
(4年)
保育士 26.2万円
(8.8年)
16.9万
(7年)
28.0万円
(9年)
17.3万
(6年)

※()内は勤続年数
参照…平成29年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査主計結果について「職種別職員1人当たり給与月額」

私立保育園より公立保育園のほうが給料の高い理由は、運営費の違いにあります。公立保育園は、国や自治体から出される運営費で人件費が確保され、給料が安定しています。これは公務員全体に共通するメリットです。

一方、私立保育園は運営費の内訳が公立保育園とは異なり、公立保育園ほど十分な人件費が確保できないため、保育士ひとりひとりの給料が安くなってしまいます。

また、運営費は事業の経営状況に左右されるため、保育園によっては給料や手当が十分に出せなくなる可能性もあるのです。

同じ働くなら公立保育園のほうが断然お得…ということになるわけですが、高収入で安定している公立保育園の保育士は、私立保育園の保育士よりも離職率が低いので、なかなか空きも出ません。

さらに現在は、公立保育園の民営化が進んでいるため、公立保育園への就職はますます難しくなっているのが現状です。

▼関連記事
公務員保育士になりたい!受験方法・試験内容・勉強のポイントは

保育士の年収が高いor低い都道府県は?地域で異なる収入

全国の保育士(女性)の平均年収は324万円ですが、地域によって最大で136万円の格差が生じています。(平成28年の場合)

▼保育士(女性)の推定年収が高い都道府県トップ5

 

勤続年数 給与月額 賞与 年収
愛知県 10年 27.9万 81.5万 416万
京都府 11年 26.8万 79.6万 401万
神奈川県 5年 24.6万 66.2万 361万
大阪府 9年 24.0万 66.5万 353万
静岡県 10年 23.5万 71.3万 353万

▼保育士(女性)の推定年収が低い都道府県ワースト5

 

 

勤続年数 給与月額 賞与 年収
岡山県 6年 18.3万 38.6万 258万
秋田県 9年 18.2万 56.8万 270万
三重県 6年 19.6万 44.2万 279万
福島県 9年 17.8万 65.6万 280万
島根県 6年 19.4万 48.7万 282万

※厚生労働省「平成28年 賃金構造基本統計調査」保育士(女性)の都道府県別の給与データを元に算出

一般に都市部ほど保育士の給料は高くなり、また給料の多い地域の保育士は勤続年数が長い傾向が見られます。

東京都は、勤続年数の平均が5年未満でキャリアの浅い保育士が多いためか、推定年収は335万円とトップ5には入りませんでした。

収入の低い都道府県が働きにくい地域というわけではありません。あくまでもデータに基づく単純計算から導き出した推定年収で、給料の格差は、最低賃金や地域の事情などが反映していることもあるため、目安として参照していただけると幸いです。

魅力的な手当はどれ?保育士につくさまざまな手当

保育士の給料の高さを左右するのが手当の存在です。給料の内訳は、基本給+手当となっていて、保育士につく主な手当てには次の種類があります。

  • 賞与
  • 通勤手当
  • 研修手当
  • 住宅手当
  • 特殊業務手当
  • 資格手当
  • 処遇改善手当
特殊業務手当
イベントの準備や打ち合わせなどで発生した、時間外の就業時間に対して出る手当です。
資格手当
保育士資格を取得している人に出る手当です。ただ、資格手当のつく保育園はそれほど多くありません。
処遇改善手当
待機児童が減らないことが問題になっている中、国は保育士の離職を避けて人材を確保したいため保育士の処遇改善対策を始めています。

具体的には、2017年4月より保育士の給料に2%の上乗せをした補助金を出す、というものがあります。1人あたり数千円のアップとはいえ、少しでも給料が増えるのはありがたいことです。

ただ、処遇改善手当はいったん保育園に渡され、保育園の判断で職員に支給されていくので、上乗せ分が給料に反映していない保育士が多くなっています。

副主任保育士・専門リーダーに対する手当
平成29年から追加された役職「副主任保育士」「専門リーダー」になれば、毎月4万円の手当てが受けられます。

これらの役職に就くにはいくつかの条件もありますが、月4万円の差はかなり大きく、魅力的な手当といえるでしょう。

就職、転職するなら、少しでも収入をアップさせるため、しっかり手当がつく保育園を選ぶのがポイントです。

少しでも好条件で…保育士の転職に成功するコツ

離職率の高さが働きにくさを物語っている保育士。その転職を後悔しないものにするには、どのような対策をすればよいのでしょうか。

少しでも待遇の良い保育園を選ぶ

私立保育園は、保育園によって待遇が異なるので、求人募集要項をよく確認して、少しでも待遇の良い職場を選ぶようにしましょう。

スキルアップで仕事の選択肢を増やす

保育園は保育士資格がなくても作業補助や非常勤のスタッフとして転職することもできますが、保育士資格を取得している保育士とは給料に差がつくので、保育士資格を取得することもおすすめします。

保育士免許をすでに取得している人は、これ以上のスキルアップで手当が増えることはありません。

しかし今後は、保育士資格と幼稚園教諭免許の必要な「認定こども園」が増えてくるので、保育士資格を取得している人は幼稚園教諭免許を取得すると、職場の選択肢が広がります。

幼稚園教諭免許を取得するためには、専門の短大、大学等で必要な単位を取得する必要がありますが、保育士資格を持っている人は特例制度が適用される場合があります。

保育士として3年かつ4,320時間以上の勤務経験があれば、特例制度により検定試験に合格することで幼稚園教諭免許が取得できます。

公立保育園の空きをチェックする

公立保育園の求人は少ないため、中途採用は難しいのですが、こまめにチェックすることで空きが見つかる可能性もあります。

パートや臨時職員は公務員ではありませんが、私立幼稚園の非常勤よりは待遇が良いので、公立保育園で働きたい人はチェックしてみるとよいでしょう。

手厚い手当のつく自治体で働く

自治体によっては保育士が勤続しやすいよう手当をつけているところもあります。

たとえば千葉県松戸市は、正規職員に対して「松戸手当」と呼ばれる給料の上乗せ、永年勤続した保育士への表彰状と記念品の贈呈、市内で賃貸物件を利用している保育士への家賃補助といった手厚い手当を支給しています。

松戸手当は、保育士の目に見える形で直接支給されているので、市内で働く保育士も安心して仕事を続けることができるのです。

そのほかに世田谷区、墨田区などで家賃補助、船橋市で給料の上乗せなどが行われています。

保育士不足が深刻な問題となっている今日、口先だけの約束でなく、このように保育士の処遇対策を実行に移している自治体も増えているようです。

もしお住いの地域で働きやすそうだと感じたら、保育士へ転職されると、社会にも貢献でき、一層やりがいが感じられるのではないかと思います。

給料が低くて悩んでいる方、保育士への転職を検討している方

給料が安いと言われている業界での職場探しは不安ですよね。

もっと給料の高い保育所で働きたい、保育士へ転職したいけどどうやって待遇の良い保育園を探せば良いかわからない、という方は、保育士専門の転職エージェントを活用し、好条件の求人を探してみましょう。きっと効率良く職場探しができると思います。

こちらの記事も参考にどうぞ保育士の転職サイトランキング【評判が良い7社を比較】

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