介護業界の現状と将来。元介護職員が語る、本当の問題点と心得

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「介護職に就きたい」と、考えている方は多いでしょう。ですが、介護職は重労働で、お給料が安いと有名です。

実際に「介護職に就きたい」と思っても、二の足を踏んでしまう方もいるかもしれません。

ですからここで、介護業界について前知識を手に入れておきましょう。この記事には、介護職の仕事内容や平均年収、必要な資格などがまとめられています。介護職への就職について考える手がかりになるはずですよ。

介護職の仕事内容。経験者が知るきれい事ばかりじゃない現状とは

初めての職種に就職や転職を考えるときは、まず情報収集をしますよね。ですが、外から手に入れられる情報というのは、案外少ないものです。

きれい事ばかりの建前に、本音が隠されてしまっていることもあります。

まずは、介護職の仕事内容や平均年収などを、現実的な観点から見ておきましょう。

まず、介護職の仕事内容は、多岐にわたります。介護職とひとくちに言っても、さまざまな就職先があるからです。

まず、障害者領域に就職するのか、高齢者介護の領域に就職するのかによっても、大きな違いがあります。また、それぞれの領域にも、入所や通所、在宅介護など、さまざまな就職先があります。

障害者領域では、比較的若年の方のご対応が多いです。介護保険の適応にならない若い年齢の方々は、障害福祉で介護給付を受ける場合があるからです。障害者手帳の分類としては、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳があります。
高齢者介護の領域では、多くの場合、特定の疾患により要介護状態となった40歳以上の方か、65歳以上で要介護状態となった方のご対応をします。有料老人ホームの場合は、要介護状態でない方のお世話にあたることもありますね。

いずれの場合でも、介護職のお仕事は、日常生活のお手伝いです。

  • 排泄
  • 食事
  • 入浴

など、生活するためのさまざまな行為を介助します。

要介護者が楽しく過ごせるよう、コミュニケーションやレクリエーションなどのスキルも求められます。

入所や通所、在宅介護など、どの仕事形態を選ぶかによって、作業の比率が変わります。

入所介護では身体介護の比率が高く、通所介護ではコミュニケーションやレクリエーションが重点的な傾向がありますね。

介護職の平均年収。安いと言われるのは本当か?

現実的に就職を考えたとき、気になるのは、生活していけるのかどうかですよね。

「介護職のお給料は安い」と言われますが、実際のところはどうなのでしょうか。

お給料の金額を「高い」と思うか「安い」と思うかは、人によって価値観が違います。そこで、実際の金額を見てみましょう。厚生労働省の賃金構造基本統計調査で公開されているものをご紹介します。

国家資格である介護福祉士の資格を持っている場合、平均年収は310万円と公表されています。平均月収で見てみると、19万円から27万円です。

国家資格ではない資格で介護職をされている方もいますね。介護士の平均年収としては、およそ290万円から340万円とされています。

額面に差があるのは、資格手当の他、夜勤手当や役職手当などが関与している可能性が考えられます。施設職員と通所介護、訪問介護などの業種の違いや、事業所ごとにも基本給が違います。その点は留意しておきましょう。

こちらのリンク先では、介護職のお給料について、他職種とも比較してまとめてあります。

介護業界の市場規模

介護業界の市場規模は8兆9,005億円です。労働者数は51,270人、平均勤続年数は5.9年、平均年齢は40.4歳、平均年収は454万円です。

市場規模が大きいものの年収が低く、勤続年数が短いことから、如何に介護業界が人員不足であるか、まだまだ労働環境が整っていないかがわかるでしょう。

介護業界の現状と課題になっていること

市場規模の大きさと年収のつり合いがとれていないと言われる介護業界の現状と、その中で特に問題視されていることを紹介します。

高齢化社会により介護施設が倍増

現在の日本は少子高齢化社会、年々新生児の出生率は下がり、その反面高齢者の数が増えています。

高齢者が多ければ多い程に介護施設は必要となることから、施設の数が倍増しました。それでも介護施設に入れない高齢者は多く、介護難民が溢れています。

利益を求めるあまり経営破たんする企業の増加

居酒屋業界大手のワタミによる介護事業の子会社「ワタミの介護」は、損保ジャパン日本興亜HDに買収され、子会社化しました。

利益を求めるあまり経営破たんする企業も増加していますが、これには介護報酬の引き下げと人件費の高騰が関係します。

2015年に介護報酬が2.27%引き下げられ、そして人員不足解決のために人員確保した結果人件費が高騰したことで、経営コストがかかり介護事業が立ち行かなくなったのです。経営コストがかかることが原因での介護施設の閉鎖は今や珍しくありません。

人員不足による外国人介護福祉士の受け入れ

高齢化社会の日本内では人員確保が難しいことから、外国人介護福祉士の受け入れを進める介護施設が増えつつあります。

今後も更に高齢者が増えることが予想される日本では、介護事業は外国人介護福祉士頼りとなるでしょう。

ベトナムの短大に日本式の介護コースが開設

日本国内では介護事業=ブラックという悪いイメージがついていることから、介護福祉士を目指す若者も少ないのです。

しかしベトナムの短大に日本式の介護コースが開設されたことで、市場規模の拡大が予想される介護事業での一番の問題、人員不足を解決できるのではないでしょうか。

介護業界の動向、今後はどうなるのか

様々な問題があがる介護業界ですが、今後はどうなっていくのでしょうか。

介護業界を目指すのであれば、その動向は知っておかなければいけないことです。業界研究の一環として、参考にしてくださいね。

2025年に今より市場規模が拡大される予想

2000年からの10年間で倍増した介護事業は高齢化社会により更に拡大、2025年には市場規模も拡大され、30兆円産業になることが予想されています。

異業種が介護業界へ参入

2007年に訪問介護業界大手のコムスンが介護事業からの撤退を表明しましたが、その後ニチイ学館が移住系サービス事業を継承しました。多くの異業種が介護業界へ参入を始めることで、介護事業の活発化が予想されます。

介護保険の見直しに注目

2015年に介護報酬が2.27%引き下げられましたが、次は2018年に介護保険法改正が施行されました。新たな介護保険施設の創設などの案が上がっていますが、法改正が今後の高齢化社会の日本にどう影響するのか注目が集まっています。

介護事業増加への差別化戦略

高齢化社会の影響か、介護業界の事業所数がコンビニの店舗数を上回ったという話しがあります。

増加している介護施設はどこも似たサービス形態ということで、介護施設ごとの差別化戦略を図らなければ、経営コストだけがかかり経営破たんする介護施設が増えてしまう恐れがあります。

介護職になるために、必要な資格と費用を知ろう

仕事内容を知って、年収を把握した上で、「それでも介護職になりたい!」と思ったのなら、次に知っておきたいのは介護職になるために必要な資格ですよね。

実は、介護職には、資格がなくても就くことができます。入所施設や通所介護では、無資格者を雇用して仕事をしてもらいながら、資格取得への助成をしているところもあるのです。

のちのちのスキルアップを考えるのなら、やはり資格は取っておきたいものですよね。資格の有無は、お給料の額にも差が出ます。未経験者が取得できる介護の資格についてまとめましたので、自分に必要だと思う資格を取得しましょう。

初任者研修

もっとも基本的な、介護職の資格です。130時間の講習を修了し、試験に合格することで取得できます。試験といっても、そう難しく考えることはありません。講習の内容を振り返るような内容ですから、真面目に学んでいれば受かるはずです。

実習はなく、通信講座も開講されています。また、1ヶ月程度で取得できる短期集中講座や、夜間に受講できる講座などもあるので、取得しやすい資格と言えるでしょう。費用は7万円から8万円程度ですが、ハローワークで受講を斡旋している場合もあります。

実務者研修

初任者研修の上位資格です。ですが、実務経験がなくても実務者研修を受講することは可能です。450時間の講習と、医療的ケアの演習を修了すれば、実務者研修の資格を手にすることができます。

初任者研修よりも、さらに専門性の高い内容がカリキュラムに組み込まれています。また、実務者研修資格の取得は、介護福祉士の受験資格にも該当します。将来的に介護福祉士を取りたいと思うなら、実務者研修を取得して損はないでしょう。

実務者研修の受講費用は、10万円から15万円程度です。開講講座によって差があるので、複数検討することをおすすめします。

また、初任者研修の資格を先に取って、あとで必要になったときに実務者研修を受講する手段もあります。この場合は、初任者研修の分のカリキュラムが免除されます。

ガイドヘルパー

移動介護従業者ともいいます。これは、ひとりで外出するのが困難な方の、外出のお手伝いをするための資格です。全身性の障害を持つ方や、視覚障害の方、知的障害の方が、支援の対象になります。

障害者支援については制度の移行があり、視覚障害者は同行援護従業者、知的障害者・精神障害者のサポートは行動援護従業者というように、細分化されてきています。

自分が支援したい対象を考えて、全身性障害者ガイドヘルパー、同行援護従業者養成研修、行動援護従業者研修から、取得する資格を検討しましょう。

ガイドヘルパーは、仕事内容が限られます。この資格単体で介護職として正職員になるのは、難しいかもしれません。ですが、障害者支援に携わりたい方、特に障害者の行動範囲を拡大するお手伝いをしたいと考えている方にとっては、おすすめの資格です。

福祉用具専門相談員

障害者や要介護者が使用する福祉用具について、専門的な知識を学ぶための資格です。50時間のカリキュラムを修了する必要があります。費用は講座によりますが、4万円から7万円程度のところが多いようです。

介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所には、この資格の所有者を配置しなくてはいけない義務があります。その点を考えると、実用性は高いと言えるかもしれません。また、在宅介護にも役立てることができるでしょう。

ここに挙げた資格は、介護職につくために取っておきたい資格です。このほかにも、取得しておいたら役に立つ資格や、経験を積んだら取得できる資格もあります。「将来的な展望も考えたい」という方は、ぜひこちらもご参照くださいね。

元看護職員が伝えたい、介護職を目指すなら考えておきたい3つの心得

ここまで見て「やっぱり自分は介護職を目指したい」と思った方へ、介護職経験者の視点から、考えておいていただきたいことをまとめました。

目標を持とう

まず、「自分は介護職になって、なにがしたいのか」を考えておきましょう。介護職は、とかく気持ちを求められる仕事です。自分なりのポリシーがないと、仕事の辛さや理不尽さに負けて、心が折れてしまうことがあるかもしれません。

障害者や高齢者の役に立ちたいという方もいるでしょう。専門職としてのスキルを高めたいという方もいるでしょうね。家族のためというのも、ひとつの理由です。もちろん、これ以外でもいいのです。自分なりの目的や目標を考えておくことが大切です。

自分に合った職種を選ぼう

介護職は、その業種によって、仕事内容が大きく異なります。仕事の業種選びは、慎重におこないましょう。

自分の目標にあわせて業種を選ぶのが、もっとも間違いのない選択肢でしょう。そのほかにも、自分に向いているのはどのような作業なのかを考えてみると良いですね。

また、勤務時間や勤務形態も、考慮する必要があります。マイペースに仕事をしたいのか、決まった時間だけきっちり働きたいのか、自分が希望する働き方を考えておきましょう。それだけでも、就職する業種が絞れる場合があります。

特に、夜勤の有無は重要な要素です。夜勤手当は大きな収入源ですが、不規則な生活になるので、身体への負担は大きいですからね。多くの場合、夜勤は日勤よりもスタッフ人数も少ないので、ご自身のスキルともご相談することをお勧めします。

自分を追い詰めないようにしよう

もっとも重要なのは、自分を追い詰めてしまわないようにすることです。対人支援職である介護職は、仕事中に嫌な思いをしてしまうことも多々あります。暴力や暴言、理不尽なクレームなど、肉体的・精神的な負担も重い仕事です。

ですが、そうして思いつめるあまりに、人としての道を踏み外してはいけません。最近、介護職による障害者や要介護者への虐待事件が報道されました。つらい気持ちが他害へと向いてしまいそうなときは、仕事から逃げる道が必要です。

生活するためには仕事をしなくてはいけませんから、おいそれと辞めるわけにはいかないでしょう。転職や休職という選択肢を、いつでも心の片隅に置いておきましょう。

今後高まる介護職の必要性。将来生を見据えた判断をしよう

核家族化が進行し、少子高齢化が進む日本において、介護の担い手不足は深刻な問題です。職業として介護をおこなう介護職は、日本において重要な存在といえるでしょう。

仕事内容がきつい、給与が安いなど、マイナス面が取り上げられがちな介護職ですが、社会的な必要性は間違いなく高い職種です。

それを反映するように、介護職に関連する資格の専門性が高まり、改正を重ねるごとに資格取得の条件が難しくなっていっています。また、処遇改善に関する対策も講じられ、介護職の離職を防ごうとする試みもみられています。

介護職の求人募集は常時ありますし、中途採用でも就職しやすいのが介護職の利点です。応募時の年齢も、他職種より問題になりにくいですね。それに、自分の家族に介護が必要になったときにも、役に立てられる資格です。

介護業界への就職を考えてみてはいかがでしょうか。

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