人手不足の介護業界。劣悪な職場の実態と、危険な職場の見分け方

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介護職は離職率が高く、日常的な人手不足となっています。ハローワークや求人情報誌を見てみると、いつでも必ずと言っていいほど、介護関係の求人情報が載せられていますよね。

人手不足は、劣悪な職場環境を生むばかりか、職員間の人間関係にも影響を及ぼします。劣悪な職場に身をやつすことがないように、人手不足によって生じる害について知っておきましょう。場合によっては、転職も考えておきたいですね。

人手不足は職場環境が劣悪な証拠。原因と実態を知ろう

身近な求人情報を、よくよく気を付けて見てみてください。「あれ。この会社、また求人情報を出しているな」なんて思うことがあるかもしれません。

頻繁に求人情報を出しているということは、応募があって就職しても、すぐに辞めてしまうということ。あるいは、募集を何回も出しても、応募に応じてくれる人がいないということです。

人手不足になる職場には、「その職場では働きたくない」と思わせるだけの理由があるものです。まずはその原因と、そういった職場の実態について知っておきましょう。

給料が安く、サービス残業が多い

最近、過労で亡くなる痛ましい事件が、あいついで報道されました。様々な働きかけや運動の甲斐もあって、労働環境の整備は進んでいるように見えますよね。ですが、「労働基準法に守られているから」と、安心してはいけません。

就労規則にどう謳われていようとも、就労時間や休日が満足にとれない職場というのは数多く存在しています。対人援助職である介護職では、未だに滅私奉公の理念が息づいています。自分の心身を犠牲にすることを求められる事態も多いのです。

それでも残業代がしっかり支払われるのならば、まだ良いほうだといえるでしょう。ですが、介護事業の多くは、どれだけ頑張っても得られる収益の上限は決まっています。そのため、人件費にも潤沢な資金をあてがう余裕などないのが現実です。

結果、給料が安く、サービス残業が多いという劣悪な就労環境を生むことになります。良い人材ほど、こういった職場からは離れていくでしょう。

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教育体制が整っていない

働きにくい職場の特徴として、教育体制が整っていないことが挙げられます。

新しく就職した職員は、当然、その職場での勝手がわかりませんよね。仕事を教えてもらえなければ、仕事内容の把握もできず、ミスも多くなります。気持ちばかりが焦ってしまい、時には事故につながるようなこともしてしまうかもしれません。

仕事を教えてもらえもしないのに、ミスをしたときだけは責任を追及される。そんな職場には、誰だって勤めたくありませんよね。

働きにくい職場には、職員が長く居つきません。結果、働きなれた職員がおらず、不慣れな新人職員ばかりになります。また、職員の入れ替わりが激しいということは、仕事を教えられるベテラン職員がいないということです。

新人の職員ばかりでは、効率の良い仕事などできるわけも有りません。当然、教育体制を整えることなどできるわけはなく、さらなる悪循環を生んでいきます。これでは、新入職員もすぐに離れていってしまいますね。

職員の安全が守られない

介護職の離職防止のために進められている処遇改善も、未だ行き届いていないのが現状です。なかには、職員への安全対策すらとられていない、劣悪な職場もあります。

特に、感染予防という点においては顕著です。入浴介助の際に身に着ける防護服やサンダルが用意されていなかったり、入浴介助後の職員が手足を洗うこともできなかったりして、水虫をもらってしまうなんて事例もあります。

また、医療行為を必要とする方への対応についても、介護職はしてはいけないとされている行為をさせている職場があります。痰の吸引や胃瘻の注入、糖尿病の血糖値測定やインスリン注射などが多いですね。

指定された研修を受けたり、医療職の指示や指導を受ければ行える場合もあります。ですが、研修やリスク説明もせずに、おこなってはいけないことすら知らせずに、介護職に医療行為をさせている職場もあります。

きちんとした知識を持っている介護職は、このような職場への就職は避けるでしょう。

ただでさえ「きつい仕事」と言われる介護職。その理由は、こちらの記事にもまとめられています。

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こんな職場は要注意。人手不足な職場への就職を避けよう

人手不足の原因と実態を知ったなら、「そんな職場には勤めたくない!」と思いますよね。求人誌や面接での情報だけでうっかり騙されてしまうことがないように、自分の眼で見るべきポイントを見定めましょう。

職場側は、自分の会社が人手不足で劣悪な環境だと悟られないよう、あれやこれやと工夫をします。ここからは、そのような職場への就職を避けるコツをお教えしましょう。

求人情報が頻繁に出される職場

求人情報が頻繁に出されるということは、頻繁に職員が足りなくなるということです。それはずばり、職員の離職率の高さを物語っています。

業績が伸びている会社で、新店舗を開設するタイミングでたびたびに求人を出しているという可能性もあります。ですが、介護関連事業に関しては、介護保険財政の悪化も影響して、あまり儲からなくなってきているのが現状です。

職員が掲載が無料の情報誌やハローワークでの求人では、特に気をつけたいポイントです。ハローワークで扱っている情報の場合は、まず窓口で相談してみましょう。ハローワークで求人情報を出している回数を、ネットで調べることもできます。

求人情報を出している回数を調べることは、最低限の自衛手段と言えるでしょう。

職員があいさつをしない職場

就職する前に職場の雰囲気が知りたいと思ったなら、事前に見学に行っておくことをお勧めします。事前の見学が難しいようなら、面接に訪れた際に、職場の様子を見学させてもらいましょう。

見学の時に職員にまったく会わない職場は、言うまでもなく危険です。また、見学の際に会った職員があいさつをしてくれなかったり、他の職員や要介護者とも会話をあまりしていない様子があったら、その職場も要注意です。

人手不足の職場では、職員一人当たりの負担が多くなり、その分だけ精神的にも肉体的にも疲労が重なっていきます。外部の人にあいさつをしたり、要介護者と必要以上の談話をしたりする余裕もなくなっていくものです。

人手不足の職場では、いったん就職してしまうと、辞めにくくなるように圧力をかけられる場合があります。採用の連絡を受ける前に判断できるように、できるだけ多くの情報を集めておきましょう。

要介護者に活気がない職場

就職前に職場を見学できた際には、職員だけでなく、要介護者の様子も見ておきましょう。

職員に気持ちの余裕がある職場は、職員と要介護者が交流をとる機会も多く、レクリエーションなど楽しい時間も多く設けられています。職員と要介護者が良好な関係を築けている場合、要介護者の表情は明るく活気が見られるものです。

逆に、ロビーや談話室に要介護者が誰もいなかったり、いてもイスや車イスに座っているだけで何もしていなかったりする場合は要注意です。また、要介護者に対して職員が「ちょっと待っててください」という返答を多くする職場も要注意です。

また、転職活動の際も、求人票の内容や面接官の甘い言葉にだまされてしまうことのないよう、慎重に職場を見極めることが大切ですね。

介護職でも良い職場はある。転職する時のポイントを押さえよう

今まさに人手不足で劣悪な環境だというのなら、転職を考えてみてはいかがでしょうか。介護の仕事には、条件の良い職場というのは多くはありません。ですが、少ないですが優良な条件の職場もあります。現状よりはましな職場もあるでしょう。

転職をするためには、まず退職しなくてはいけません。劣悪な職場ほど辞めにくいものですが、心を強くして立ち向かいましょう。

円満に退職しよう

いかに劣悪な職場でも、退職の時には良好な関係でお別れできるように心がけておきましょう。介護職の世界は狭いので、意外なところでつながりがある可能性があります。研修や勉強会でバッタリ出会うなんてことも、あるかもしれません。

また、介護福祉士やケアマネジャーなどの上位資格を取得するときにも、前職での経験証明書が必要になります。その時のためにも、円満な退職をこころがけておきたいものです。

退職したあとで、次に就職するまで無職の期間がある方は、失業給付を申請する場合もあるでしょう。その際には離職票が必要となり、やはり退職する会社から発行してもらう必要があるのです。

こういったことを考えると、できれば円満に退職したいものですよね。

そのためには、まず、日付に余裕をもって退職を申し出ることです。退職の2か月前には申し出るようにしましょう。最後の出勤日には、上司の方へのごあいさつも欠かさないようにしましょう。

どれだけ嫌な思いをした職場でも、最後の時には大人の対応をしておきましょうね。

辞めさせてもらえない時の手段を考えておこう

人手不足の職場では、退職したくてもなかなか聞き入れてもらえない、という事態になりがちです。

退職願を出したとしても、「忙しくて話を聞いている暇がない」などと理由をつけて先延ばしにされることがあります。「人手不足だと分かっているだろうに、この状況で辞めたいというなんて、責任感がない」と責められるかもしれません。

人手不足の介護職でも、退職の権利は認められています。ですが、退職願を手渡ししてその後は出勤しないというのは、良い手段とはいえません。

渡したはずの退職願をなかったことにされ、無断欠勤という処置をされたり、会社から懲戒雇用という扱いにされたりする場合があります。また、雇用の契約形態によっては、契約期間内の退職は認められていない場合もあります。

どれだけ手を尽くしても、悪質な会社とは、離職に関するトラブルが防げない場合もあります。労働基準局への相談や裁判などの手段もありますが、転職のことを考えると、あまり大ごとにはしたくないですよね。

あくまでも、合意を得て退職するというのが、最も良い方法です。ですが、もしそれが難しい場合には、まず雇用契約書を確認しましょう。そして、どれだけ話しても退職させてもらえない場合は、退職願は証拠が残るように内容証明で提出しましょう。

退職後、離職証明などの必要な書類をなかなか発行してもらえない場合、ハローワークにそのいきさつをお話して相談するのがお勧めです。

上手に辞められたら、次は転職について考えたいですよね。失敗しない転職のコツは、こちらの記事にまとめられています。前向きで明るい転職活動のために、ご参照ください。

介護出身の強みを活かして転職を成功させよう

事故にも繋がる人手不足。自分の身は自分で守ろう

対人援助職である介護職の仕事は、たったひとつの小さなミスでも、誰かの命や人生を大きく変えてしまう可能性があります。あまり考えたくはないことですが、自分のミスで誰かを死なせてしまうことだってあるのです。

人手不足は、疲労や不注意を生みます。過酷な労働環境のせいで、普段ならありえないミスを起こしてしまう可能性もあるのです。

「要介護者のことを考えると、自分がいなくなったら困ると思うから、辞められない」と考える方は多いでしょう。「辞めると言っても、どうしても引き止められてしまう」という方もいるでしょう。

ですが、その職場は、いざという時に自分を守ってくれるでしょうか。その点を考えた時に不安な気持ちがよぎるなら、あなたがそこまで尽くすほどの職場ではないのかもしれません。

事故を起こしたとき、最も大きな損害を被るのは、要介護者です。ですが、それに関わった介護職も、癒えることのない深い傷を負うことになります。

仕事のやりがいも大切ですが、自分の身を守ることも同じくらい重要だと考えましょう。安全に働ける労働環境を選択することも、自衛手段のひとつですよ。

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