本当に役立つ英語資格の選び方。TOEIC以外も取った方が良い?

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近年は、転職やキャリアアップに役立つ資格として「社会保険労務士」「ファイナルプランナー」「宅建士」などが男女とも人気が高くなっていますね。

資格があると転職の際に即戦力として優遇されやすく、また、資格取得を奨励する企業も増えてきていることからも、積極的に資格を取得する人が増えてきています。

また、英語資格はビジネス、プライベートと用途にこだわらず、幅広い世代から根強い人気があります。

グローバル化に伴い、日本人にはより実践的な英語のコミュニケーションスキルが必要になりそうです。

英語スキルの向上と証明に役立つ英語資格の種類、選び方をチェックしてみましょう。

英語スキルに求められるのは聞く・読む・話す・書くの4技能

日本では、代表的な英語資格として「英検(実用英語技能検定)」と「TOEIC」が知られていますが、大小含めるとおよそ70種類もの資格や検定試験があるとのことです。

資格・検定試験は、ビジネス向き、学生向きなど、受験の目的や試験内容はそれぞれ異なっており、どんなテストを受けてもそれがすべて自身の仕事に役立つとは限りません。

費用や勉強時間の浪費にならないよう、数ある英語テストの中から目的に合ったものを選ぶのがおすすめです。

日本ではTOEICが人気

日本で社会人から最も人気が高いのはTOEICです。

英検は学校英語とリンクしている部分が大きく「英検3級は中3レベルを習得」「英検2級は高3レベルを習得」などわかりやすい語学力のものさしとなっています。

一方、TOEICはビジネスシーンに通用する英語スキルを証明するものとなっており、級数がないかわりスコア(得点)が英語スキルのレベルを表します。

英検もTOEICも履歴書に記載できる資格で、一定以上のレベルなら大学入試や就職・転職が有利になりますが、採用選考で特に重視されるのはTOEICのスコアです。

中には、応募の必要条件に「TOEIC〇点以上」とスコアを設定する企業もあります。

聞く・読むに加え話す・書くも問われるように

日本の英語教育は、どちらかというと「聞く」「読む」が中心になっていました。

日本人に人気の高いTOEICは(聞く)とリーディング(読む)に特化した「TOEIC L&R」と、スピーキングとライティングに特化した「TOEIC L&R」があり、ほとんどの人がL&Rを受験しています。

しかし、近年は英語のコミュニケーションに「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能が必要だという考えが高まってきています。

国立大学入試の英語試験には、この4技能を評価する民間資格を活用することも決まりました。

2020年からの大学入試試験には「大学入試英語成績提供システム」が採用され、高校3年生で受験した民間資格・検定試験の結果が入試試験の評価に反映されるようになります。現時点で設定されているのが以下の資格・検定試験です。

  • 実用英語技能検定
  • TOEIC L&R
  • TOEIC S&W
  • TOEFL iBT
  • IELTS
  • GTEC
  • TEAP
  • ケンブリッジ英語検定
  • TEAP CBT

各資格・検定試験の結果はCEFR(欧州評議会が発表した英語の国際標準規格)のに照らし合わせ、A1~C2の段階で評価されます。大学入試センターと大学には、スコア、CEFR、合否の結果が送られ、英語の評価に反映するということです。

また私立大学では、大学入学者選抜制度として英語4技能資格試験を入試に活用している所も急増しています。

つまり、これから社会に出ていく若い人は、英語の4技能を備えていることが標準となっていきます。

一方、すでに社会に出ている人達は「聞く」「読む」の英語スキルに長けている人が多いかも知れませんが「話す」「書く」はあまり勉強してこなかった人もいるかもしれません。

日常やビジネスシーンで実践的な英語のコミュニケーションがますます求められることを考えると、社会人の方も、4技能のバランスがとれるような英語テストを受験することが必要になっていくようです。

就職・転職に有利なのは英検・TOEIC

英語資格の中で就職や転職に有利なのは、認知度と信頼性の高い英検とTOEICです。

4技能の実力が証明できる英検

英検(実用英語技能検定)は、国内最大規模の英語検定試験です。受験実施の歴史も長く、文部省後援ということで信頼性が高いので、大学入試、留学、就職・転職には有利です。

語彙は日常会話、ビジネス英語からバランスよく出題され、子どもからシニアまで幅広い世代に高い人気があります。

受験者の8割以上が中高生、どちらかというと学生向けの検定試験というイメージが強くなっていて、社会人が履歴書に書くなら英検2級以上に合格する必要があります。

2016年からは、2級以上の試験にライティングが加わったので、2級以上があれば4技能の実力を証明することができるようになりました。

「聞く」「読む」だけでない英語のコミュニケーション能力をアピールしたいときには、英検2級以上を取得するとよいでしょう。

構成 5・4・3級…中学生で履修するレベル
準2級…高校中級レベル
2級…高校卒程度のレベル
準1級…大学中級レベル
1級…大学上級レベル
試験内容 5・4級…筆記試験・リスニング、スピーキングテスト
3~1級…一次試験(筆記試験・リスニング)
    二次試験(面接形式のスピーキングテスト)
受験機会 年3回
試験会場 全国各都道府県にある約400会場
年間受験者数 約370万人(うち学生以外は約40万人)
※英検IBA、英検Jr.を含む
問い合わせ先 公益財団法人 日本英語検定協会

英検を受けるメリットは、受験しやすく、一度合格すると更新や再受験の必要なく永久に英語スキルが証明できるところです。また、準1級に合格するとほかの英語資格の受験が優遇されるメリットもあります。

デメリットは、大学中級レベルの準1級以上になると急に難易度が上がるところです。

公式サイトによると「準1級は実際に使える英語力があるレベル」と説明があり、TOEICスコアでは「プレゼンが英語でスラスラできるレベル」の700点以上に相当するといわれるので、しっかりと対策をして受験にのぞみたいです。

▼関連記事
TOEICの得点は就職にどのくらい影響する?求められる点数の目安

TOEICを重視する企業が多いなか、TOEICより難易度の高い英検合格者を優遇する企業もあるので、企業研究をして英検を受けた方が有利かどうかチェックするとよいでしょう。

S&Wも受けたいTOEIC

TOEIC(Test of English for International Communication)は、米国で開発された世界共通の英語テストで、日本では英検より遅れ1979年から実施されるようになりました。

TOEICは、ビジネス英語を中心とした英語のコミュニケースションスキルをはかるテストです。そのため、英検の受験者のほとんどが中高生であるのに対し、TOEICは就職・転職を意識した大学生、社会人の受験者も多くなっています。

TOEICには、

  • TOEIC(R) Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)
  • TOEIC(R) Speaking & Writing Tests(以下、TOEIC S&W)

の2種類と、難易度を下げた「TOEIC Bridge Test」があります。

TOEICの受験者数のほとんどがTOEIC L&Rを受けており、TOEICといえばL&Rを指していることも多くなっています。

TOEICの特徴は、英検のように得点で合否を判定するのではなく、スコアがそのまま英語のレベルとして証明できるところです。

スコアが600点(TOEIC L&R)くらいから履歴書に記載できるようになります。これは、英検2級くらいに相当するので、大学生以上なら頑張れば取得も難しくないレベルといえそうです。

構成 TOEIC(R) Listening & Reading Test(10~990点)
TOEIC(R) Speaking & Writing Tests(10~200点)
試験内容 TOEIC L&R…リスニング、リーディング(マークシート式)
TOEIC S&W…スピーキング(音声録音)、ライティング (タイプ入力)
受験機会 TOEIC L&R 年10回
TOEIC S&W 年24回
試験会場 全国約80都市
年間受験者数 L&R 約270万人
S&W 約4万人
問い合わせ先 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)

TOEICは学校や企業も受験を推奨しており、試験の実施回数や試験会場が多いところも受験しやすい魅力といえます。

TOEIC L&Rの問題に英文和訳や和文英訳は一切なく、言語を聞いて推測する力、運用する力が問われます。教科書的でない実用的な英語スキルが証明でき、実際に仕事にも役立つでしょう。

ただL&Rは「話す」「書く」のスキルはが証明できないので、バランスの良い英語コミュニケーションスキルを証明するなら、TOEICL&Rと併せてS&Wを受験するのがおすすめです。4技能が証明できる英検2級以上を狙うのもよいでしょう。

ちなみにTOEICスコアに有効期限はありませんが、ずいぶん前に取得したスコアよりは最新のスコアのほうが信頼性が高いとみなされるので、定期的に受験して実力を確認することをおすすめします。

TOEICに関しては、こちらの記事も参考にどうぞ。
難易度の高いTOEIC800点を取るには

必要に応じて受験したい英語資格

英検、TOEIC以外で知名度の高い英語テストについて、それぞれの特徴をチェックしてみましょう。(TEAPおよびTEAP CBTは高校3年生を対象とした英語テストなので、当記事では説明を省略いたします。)

英語圏へ留学する人向けのTOEFL iBT

TOEFL(トフル)は、英語圏へ留学する人向けのテスト。

英語を母国語としない人が英語圏へ留学する際に必要な英語スキルをはかります。アメリカで開発され、150カ国以上の国で実施されている世界的に有名な英語テストです。

主に、居住ビザや就労ビザの発行するため、医療機関やライセンス機関での資格を認定するために必要とされ、特にカナダの大学院や大学に留学する人に適しています。

現在、日本で受験できるのはTOEFL iBT(R)です。このテストでは4技能が試され、少なくとも大学レベルの実力が必要です。

また、留学先の大学に入学するには、120点満点の60点(英検2級程度の実力)を取得する必要があるようです。

構成 TOEFL iBT トータルスコア0~120点
(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング各30点満点)
試験内容 リーディング・リスニング・スピーキング
(読んだり聞いたりした後、質問の答えを話す)
ライティング
(読んだり聞いたりした後、質問の答えを書く)
※ヘッドセット、マウス、キーボードを使用
受験機会 月に3~4回
試験会場 全国にある約100か所のテスト会場
年間受験者数 非公表
問い合わせ先 CIEE Japan(一般社団法人 CIEE国際教育交換協議会)

TOEIC同様に合否がなく、受検の機会が多いので何度でも挑戦できるところが魅力です。

リスニングとスピーキングの試験問題では、英国、ニュージーランド、オーストラリアなどさまざまなネイティブスピーカーのアクセントが出題されるので、日本人が苦手とするアクセントの違いは勉強しておきたいです。

国内の企業に就職・転職する人向けというよりは、海外に滞在する予定のある人向けのテストといえます。

留学・海外研修する人向けのIELTS

IELTS(アイエルツ)は、留学や海外研修する人向けのテスト。特に、イギリス、カナダ、オーストラリアへ移住する人に適していています。

IELTSオーストラリアやケンブリッジ大学英語検定機構などが共同で実施しており、日本では英検を実施している「日本英語検定協会」が対応しています。

IELTSには、英語圏の大学院に入学できる英語スキルを問う「アカデミック・モジュール」と、移住など学業以外の目的で渡航する人向けの「ジェネラル・トレーニング・モジュール」があります。

150カ国以上で実施され、海外で実際に使える英語スキルが証明できるということで、日本でも人気が高まってきており、大学生を中心に受験者が増加しています。

海外の大学に入学するには、一般にオーバーオール・バンド・スコアが9.0点満点中の6.0~6.5点(英検1級相当のレベル)が必要とされています。

構成 1.0~9.0までのバンドスコアで評価
(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング)
試験内容 リーディング・リスニング・ライティング…筆記試験
スピーキング…面接試験
受験機会 ほぼ毎週
試験会場 全国16都市
年間受験者数 約300万人
問い合わせ先 公益財団法人 日本英語検定協会

日本で行われる英語テストの中でも難易度は高めです。海外に留学・就職する人には重要なテストですが、そもそも海外に滞在する人向けのテストなので、海外に行く予定がない人は、ほかのテストを選んでも良さそうです。

オンラインで4技能が測定できるGTEC

GTEC(ジーテック)は、教材等でおなじみのBeness(ベネッセ)が実施する、英語4技能検定です。

小学生~中学1年向け、中高生向け、大学生・社会人向けの3タイプがあり、特に中高生で受験者数が増加しています。

大学生・社会人用のGTECは、世界初のオンラインで4技能テストとなっており、1回のテストで4技能を総合的に測定できるところが魅力です。

内容は日常会話とビジネス英語がバランスよく出題され、実際に使える英語の力を知ることができます。

スコア型で合否はありません。1000点満点で350〜559点なら個人的な海外旅行で日常会話ができるレベル、海外赴任するなら650~719点、自信を持ってビジネスシーンで英語を使うなら720点以上必要とされます。

構成 スコア型の絶対評価:1技能250点満点、4技能で1000点満点
(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング)
試験内容 リスニング・スピーキング・リーディング・ライティング
(リスニングとリーディングのみの測定も可能)
受験機会 企業・大学の指示で受検する場合…指定の日時
個人受検…決まっていない
試験会場 全国のテストセンター、または自宅
年間受験者数 約100万人
問い合わせ先 株式会社ベネッセコーポレーション

※表は、大学生・社会人対象GTECの場合

GTECのメリットは、英語スキルに関係なくどなたでも気軽に受験でき、短時間のテストで4技能のレベルが把握できるところです。海外に滞在する予定がなく、自分の英語スキルを知りたい方におすすめのテストといえるでしょう。

国際通用性の高いケンブリッジ英語検定

ケンブリッジ英語検定は、イギリスのケンブリッジ大学英語検定機構が開発・提供している、歴史の長い検定試験です。

日本ではあまりなじみがありませんが、国際標準規格であるCEFRのレベルに対応しており、世界には通用しやすいので、留学や海外赴任をする人が英語スキルを証明するには大変有利です。特にイギリスの大学・大学院へ留学する人に適しています。

ケンブリッジ英語検定は幅広い世代の英語学習に対応しており、もちろん大学生や社会人がビジネスコミュニケーションのスキルを磨くために挑戦することもできます。

試験は5段階に分かれ、英検3級レベルのA2key(KET)から受検できますが、就職・転職を目的に取得するなら英検準1級に相当するレベルのB2 First (FCE)に合格する必要があります。

構成 A2key(KET)…中学・高校レベル
B1 Preliminary(PET)…高校英語レベル
B2 First(FCE)…難関大学入試レベル
C1 Advanced(CAE)…大学・大学院に留学できるレベル
C2 Proficiency(CPE)…マスターレベル
試験内容 リスニング
スピーキング
リーディング
ライティング
受験機会 2~3回
試験会場 全国の主要都市にある会場
年間受験者数 非公開
問い合わせ先 ケンブリッジ大学英語検定機構
試験開発部門 日本統括オフィス

日本で実施されている英語テストの中でも難易度が高く、FCE以上が取得できれば、かなり英語スキルが高いことが証明できます。受験会場やテストの実施回数が少ないところがデメリットといえるでしょう。

難関国家資格の全国通訳案内士試験

国家資格には、観光庁が実施する「全国通訳案内士試験」があります。これは、外国人の訪日客に外国語で旅行案内する「通訳案内士」のための資格です。

英語を含む10か国語の試験が実施されており、英語のほか中国語、韓国語の受験者数も多くなっています。

通訳案内士は外国人に日本を正しく紹介するため、高度な語学力に加え幅広い教養も求められます。それだけに、全国通訳案内士試験は難関資格ともいわれ、合格率も10%前後とかなり低くなっています。

構成 全国通訳案内士
地域通訳案内士
試験内容 一次試験(筆記試験)
外国語・日本地理・日本歴史・一般常識

二次試験(口述試験)外国語による面接

受験機会 年1回
試験会場 全国の主要都市にある会場
年間受験者数 約6千人(英語)
問い合わせ先 日本政府観光局(JNTO)

通訳案内の業務そのものに資格は不要ですが、通訳案内士と名乗ることはできません。なかなかニッチな資格ですが「民間外交官」との異名も持ち、インバウンドが増加している今日、じわじわと注目を浴びるようになっているところです。

ライティングに特化した日商ビジネス英語検定

日商ビジネス英語検定は、日商簿記でおなじみの日本商工会議所が実施している英語検定試験です。

4技能のバランスを重視する英語テストが増えている中で、日商ビジネス英語検定は、ライティング(書く)のスキルに重点を置いているのが特徴。

商社や海外取引の必要な企業にお勤めの方で、業務上で英語でメールや文書を作成する機会の多い方に適しています。

3~1級のうち、就職・転職のため履歴書に記載できるのは2級以上です。

3級…基本的な英語のビジネスコミュニケーションスキル
2級…就職2年以内までに身につけたいレベルのスキル
1級…英語のビジネスコミュニケーションスキルが十分にある
試験内容 択一式・記述式
受験機会 2・3級…随時
1級…年2回
試験会場 全国各地の商工会議所ネット試験施行機関
年間受験者数 非公開
問い合わせ先 日本商工会議所

1級は「海外取引の豊富な実務経験がある」レベルとされ、難易度はやや高めですが、2・3級の出題内容は、公式テキスト中心になっているので、公式テキストで対策をとっておけばそれほど難しくはないでしょう。

目的に合わせて英語テストを選ぼう

英語資格は、大きく分けると英語スキルを証明するもの、留学や海外移住のために取得するもの、ビジネスコミュニケーションスキルを証明するものの3タイプがあります。

就職・転職のために英語資格を取得したい方は、認知度と信頼性の高い英検やTOEICをはじめ、業務に必要な英語のコミュニケーションスキルが証明できる英語テストを選んで挑戦するとよいでしょう。

特に、リスニング(聞く)とリーディング(読む)だけでなく、日本人が苦手としやすいスピーキング(話す)やライティング(書く)も重視されるようになっていますので、この4技能が証明できる英語テストを意識して選ぶこともおすすめします。

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