くるみん認定の前田薬品工業株式会社 前田大介代表の次世代育成支援への想い

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この記事のご協力者様

前田 大介 代表取締役社長

前田薬品工業株式会社

最近増えてきた「くるみん」マークは、子育て支援に力を入れている企業のしるしです。

少子化対策の一環として、2005年に「次世代育成支援対策推進法」が成立、それに基づいて企業は「一般事業主行動計画」を策定して国に届け出ることになりました。

その中で一定の基準をすべて満たした企業だけが、厚生労働大臣より「子育てサポート企業=くるみん認定」を受けています。

この「一般事業主行動計画策定」を届け出ている企業は、2018年12月末の時点で7万8千社あるのですが「くるみん認定」を受けているのは、その4%にあたる約2,900社だけです。

今回インタビューに協力してくださる富山県の「前田薬品工業株式会社」は、そのくるみんに2回も認定されている、社員が働きやすい企業です。子育てサポート企業としてどのような取り組みをされてきたのか、前田大介代表取締役社長にお話をうかがいました。

くるみん認定 前田薬品工業株式会社 前田大介代表へインタビュー

「くるみん認定」を受けているということは、社員が働きやすい企業であるということの目安になります。

過去に2度も認定を受けている、前田薬品工業株式会社の前田大介代表取締役社長に、くるみん認定までの取り組みや苦労、そしてこれからについてインタビューしてきました。

次世代育成支援に積極的に取り組まれたきっかけ

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次世代育成支援に積極的に取り組みを行われたのはいつごろでしょうか。

前田代表お顔写真

富山県は共働き率が約70%と全国TOP5に入る勤勉な県民が多い地域です。

当社でも家族を持っている社員の大半が共働きで働いております。共働きで働いておりますと、家庭と仕事の両立が課題として浮上してきます。

2010年頃に家庭と仕事の両立を行えるよう、会社としてどういう取り組みをすれば良いか考えた時に、生産性の高い業務を行える環境を整えるということが思い浮かびました。

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前田代表が前田薬品工業株式会社に入社されたのが2008年、代表取締役社長に就任されたのが2014年なので、入社後すぐのお早い段階から、家庭と仕事の両立という課題への気づきとその解決への取り組みを検討されていたのですね。

前田薬品工業株式会社の、くるみん認定に向けての取り組み

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「厚生労働大臣認定 子育てサポート企業」に認定されくるみんを取得されるまで、貴社が行った取り組みについてお聞かせください。

前田代表お顔写真

環境を整えるには業務フローそのものの見直しや社員間のコミュニケーション方法の見直し、これが本質的問題解決法だと感じておりましたが、同時に残業削減や有給休暇取得促進、育児介護制度の充実も行わなければいけないと思い取り組みを開始しました。

まず、どういった支援制度があれば家庭と仕事の両立が可能となるかを従業員にヒアリングしました。

従業員の声で多かったのは「子供の保育園の送り迎えがあるので8:30に出社することが厳しい、また迎えも17:00退社では間に合わない場合もある」といったものでした。

そこで、育児介護休業法の見直しを実施し、時短勤務制度の拡充を行いました。

時短勤務は通常8:30~17:00の所定労働時間を9:00~16:00に短縮し、家庭と仕事の両立を支援する制度です。

国で定められている時短勤務取得対象者は3歳までの子を持つ親ですが、当社は小学校入学前までの子を持つ親まで取得可能とし条件の緩和を行いました。

その結果、次世代育成支援対策推進法第13条に基づく認定【くるみんマーク】を2014年に取得できました。

取り組みの中で特に大変だったこと

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制度を整えるまでに、ご苦労されたことにはどのようなことがありましたか。

前田代表お顔写真

制度改定後すぐに品質管理業務の女性社員が時短勤務を取得し、取り組みはスムーズにいくかと思われました。

その後、製造業務の女性社員が時短勤務を取得しました。そこで問題点が顕在化することとなりました。

当社は医薬品製造メーカーであることから、従業員の大半は製造業務に従事しております。製造業務は複数人が一つのチームとして一つの製造ラインを動かして仕事をするケースが大半です。

そうなると、チームに時短勤務の社員がいると、8:30~9:00と16:00~17:00の1時間30分、一名不足した状態で業務を行うことになってしまいます。

数日間であれば対応できるのですが、時短勤務を取得するということは慢性的に人員不足の時間帯が発生し、フォローする従業員の負担となり、時短勤務を取得する社員に対しての不平不満につながってしまいました。

そこで、製造の所属長を中心に対策案を練り、2つの策を実施しました。

1つ目は、5Sや改善活動を行うことで、時短勤務社員がいても業務が滞りなく実施できる体制をつくること。

2つ目は、当社が掲げている「大家族経営」の方針を従業員に再度周知し、お互いが助け合う文化の醸成を行いました。

その努力の甲斐があり、今では社員が当たり前に時短勤務を取得できるようになりました。

そして、次世代育成支援対策推進法第13条に基づく認定【くるみんマーク】を2017年に再度取得できました。

取り組みを実施したことによる効果

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次世代育成支援にかかわる取り組みを実施したことで、感じられた効果はどのようなものがありますか。

前田代表お顔写真

時短勤務社員は通常勤務社員と比べ1日の労働時間が短いので、各自が時間内に業務を行う為に、日々創意工夫して業務を行っております。

それを見て、通常勤務社員も仕事の仕方を真似て全社的に改善や5Sが徹底されることで、生産性が向上されるという効果がありました。

次世代育成支援を含む社員の働きやすさにかかわる取り組みの展望

前田代表お顔写真

2020年1月現在で時短勤務を取得している社員は5名います。「くるみんマーク」はもちろんのこと「健康企業経営」にも力を入れて取り組んでおります。

2019年には「健康経営優良法人」の認定を受けました。

これからも、当社の経営理念の一部であります”全従業員の物心両面の幸福を追求する”為に、働きやすさへの取り組みについて継続的に実施していきます。

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時短勤務社員、通常勤務社員といった勤務形態に関わらず、チームとして向上を図り支え合っていくことで成功を収めた前田薬品工業株式会社。

過去2度のくるみんマーク認定に加え、健康経営優良法人にも認定された実績が納得できる、従業員全員の働きやすさのために制度の見直しや改善を行い真摯に取り組む、素晴らしい企業だということがわかりました。

前田代表、本日は大変ありがとうございました。

前田薬品工業株式会社の事業内容や特徴を紹介

今回のインタビューにご協力いただいた前田薬品工業株式会社について紹介いたします。

前田薬品工業は、薬都で有名な富山県富山市にある医薬品メーカー。1966年から半年以上にわたって、ジェネリック医薬品・OTC医薬品の研究開発・製造を手がけてきました。2014年に、前田大介代表が3代目の社長に就任されています。

製品は、軟膏剤・ゲル・テープ剤など「塗る・貼る」の外用剤が専門で、あらゆる剤型の外用剤を少量・多品種で自社製造できるところが大きな強みです。

近年、医薬品の中でジェネリックのシェアが急速に高まる中で、前田薬品工業はニッチなジェネリック医薬品の外用剤の製造に特化し、国内トップ5に入る売上高をほこっています。

前田薬品工業は、2019年から2年にかけて次のビジョンを掲げてモノづくり・コトづくりに取り組んでいます。

  1. 外用剤開発と製造のファーストチョイス企業へブラッシュアップする
  2. 「健康寿命延伸コンテンツ創造企業」へモデルチェンジするための種まきを積極的に実施する
  3. 「真の」働き方改革=働き方の革新
  4. 富山県一美しい会社・工場への進化する

原動力となっているのが社員の力です。前田薬品工業は、社員ひとりひとりの自己成長・安定した生活の支援にも力を入れ、社員が働きやすい環境づくりに取り組んでいます。

事業内容

主な事業内容は、医薬品(一般用・医療用)・化粧品の研究開発、受託製造などです。

日医工株式会社、佐藤製薬株式会社をはじめ、大手製薬会社からの受託製造(OEM)の実績も豊富です。

前田薬品工業は、適正製造基準を満たす設備で高品質な製品を製造しています。また、国内最大級のステロイド製剤専用棟を持ち、ステロイド外用剤と他の薬剤が混ざらないよう隔離して、二重三重にも環境へ万全な対策をとっています。

そして、ジェネリック医薬品、受託製造のニーズが拡大していることを受けて富山県立山町にステロイド外用剤専用工場を着工、2021年8月から稼働する予定となっています。生産能力は従来の3倍に高まる見込みです。

さらに、前田代表は50年の歴史で培った「塗る、貼る」の技術を生かし、医薬品以外の事業展開にも挑戦しています。

  • スキンケア化粧品、サービスなどの新規開発と製造
  • 台湾、中国、東南アジアなど海外マーケットへの投入を開始
  • 美容と健康をテーマにしたリゾート施設「Healthian-wood」の開発・運営
  • アレルギーソリューション事業の展開

2016年からは化粧品事業も展開、全国的にも珍しい薬業科のある滑川高校と連携し「ぴーりっちゅ」プロジェクトを起ち上げています。

ぴーりっちゅでは、実際に滑川高校の生徒と共同開発・製造した化粧品ブランド「美絹(うつくしるく)」を販売しており、富山県産の素材を使った使い心地の良い製品が大変好評です。

また、2020年3月から富山県立山町の長期滞在型複合施設「Healthian-wood」がオープンし、富山の新しいランドスケープとして注目を浴びています。

東京ドーム2個分の広大なエリアがレストラン、宿泊施設、ハーブ園などで一つの村のように構成されているところが特徴。ハーブの香りと立山の美しい風景に囲まれ、リラックスした時間が過ごせる空間になっています。

前田薬品工業は、外用薬の開発・製造にとどまらず「全方位型健康寿命延伸コンテンツ創造企業」へのビジネスモデルの転換を図るため、このように「新しいチャレンジの種」をまき続けています。

取り組み

前田薬品工業は、モノづくりとひとづくりに真摯に取り組む企業です。

MY-PQS(前田薬品医薬品品質システム)によって、高品質な”前田ブランド”を構築しています。

前田薬品工業は、国際標準化機構(ISO)の概念に基づく「ICH-Q10」の要求を満たすためMY-PQSを規定しています。そして3つのステップを通してMY-PQS活動をおこなっています。

情報共有を毎日おこない、イベント発生の情報収集、進捗状況の管理を徹底しています。(STEP1)また、毎月開催される会議体Quality Councilにて、経営陣や責任者が製品品質・GMP管理状況を確認しています。(STEP2)そして年度毎にMY-PQSを総合評価し、必要に応じて資源の提供・品質方針の見直しをおこなっています。(STEP3)

また、社員が安心して健康に働ける環境づくりにも力を入れています。

2016年10月には、富山県の製薬会社でもいち早く「健康企業宣言」をおこない、従業員の健康管理に力を入れてきました。また、その取り組みが評価され、2019年10月には、富山の製薬会社で初の「健康企業宣言STEP2」に認定されています。

社員の休暇は、子の看護休暇、介護休暇、産前産後休暇、結婚休暇やアニバーサリー休暇などを設けています。

育児・介護休業法で定められている「子の看護休暇」については、休みをとっても有給の扱いとしています。また「育児時短勤務」「所定外労働免除」については、既定では「3歳未満の子を養育する労働者」と定められていますが、対象年齢を小学校3年生まで引き上げています。

前田薬品工業はこのような子育て支援の積極的な取り組みが評価され、2014年と2017年の二度にわたって、次世代育成支援対策推進法第13条に基づく認定「くるみんマーク」を取得することができました。

男性も女性も働きやすい職場であり、社員は女性が占める割合が40%とモノづくりをする企業の平均を上回っています。

また、ワークライフバランスを大切にしたいとの考えから、社員には有給休暇の取得も積極的に推進しています。有給休暇取得率の全国平均は52%(平成31年)ですが、前田薬品工業は68%の取得率を実現しているのです。

福利厚生も、時短制度、所定外労働免除制度、結婚祝金、出産祝金など充実しています。

このような取り組みや実績は社会からも認められ、さまざまな制度で認定を受けています。

  • 2019年「健康経営優良法人2019」認定
  • 2019年 はばたく経済産業省「中小企業・小規模事業者300社」に選定
  • 2018年 経済産業省「地域未来牽引企業」選定 富山県からは31社
  • ダイヤモンド社「富山を拠点に発信力の高いユニーク企業15社」に掲載

前田薬品工業は既成概念にとらわれず、品質の高い製品の提供に真摯に取り組んできました。機動力と柔軟性を生かし、これからも国内外の市場へ挑戦を続けていきます。

次世代育成支援の取り組みを広げ、子育てしやすい社会へ

今回は、くるみん認定を2回取得している前田薬品工業株式会社をご紹介いたしました。

制度を導入するだけでなく、社員の方の声を聴いて働きやすい環境を調整し「大家族経営」の精神で社員の方同士が助け合っている、とのお話が印象的でした。

くるみん認定を目標に、社員の働きやすい環境づくりに力を入れる企業も増えており、実際に年200社増のペースで、全国にくるみん認定企業が徐々に増えてきています。

今後も子育てサポートに力を入れる事業がさらに増え、社会全体が子育てしやすい環境になることを期待したいですね。

この記事のご協力者様

前田 大介 代表取締役社長

前田薬品工業株式会社

同志社大商卒。2008年に前田薬品工業株式会社に入社後、2013年には専務に、2014年に代表取締役社長に就任。地域に調和しつつ、革新的であり、人々を笑顔にするモノコト空間を持つAmazingカンパニーを創り上げることを将来の夢に持つ。

(本記事の情報は2020年3月時点のものです)

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