履歴書に健康状態を記入する際の注意点。書き方で得する?損する?

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履歴書にはさまざまなフォーマット(書式)があります。

企業から特に指定がなければ、自分で好きなフォーマットを選ぶことになるのですが、履歴書によっては「健康状態」という記載欄を含む場合があります。

健康状態はどのように記入すればよいのか、健康状態の記入内容が採用の可否にどれくらい影響するのか、小さな欄ではありますが悩んでしまいますよね。

そこで、意外にわかりにくい健康状態の記入の仕方についてまとめました。

履歴書に「健康状態」を記入する必要性はある?

履歴書によっては、右側のスペースに健康状態を記入する欄が設けてあります。

この欄は、求職者が健康かどうか、業務に差し支えるような健康上の問題(持病、病歴など)を申告する場所です。

もし指定された履歴書に健康状態を記載する欄があれば、記載して提出する必要があります。

フォーマットの指定がなければ、健康状態の記載欄がない履歴書を選んでもかまいません。

健康状態を会社に伝えておこうと考える場合は、記載欄のある履歴書を用意してください。スペースは小さいのですが、重要な欄なので、企業に良い印象を与える書き方をおさえておきましょう。

なぜ健康状態を知らせる必要があるのか

健康ならば「健康です。」と胸を張って報告することができます。しかし、持病や病歴(既往歴)がある場合はどうでしょう。

そもそも病歴は個人情報にあたりますし「健康ではないのか」「心身のどこに不調があるのか」といったデリケートな事情は、あまり他人には知られたくないものですよね。

なぜ履歴書に自分の健康状態を書かなければならないのか?と、引っかかりを感じる人もいるのではないでしょうか。

履歴書に健康状態の記載欄が設けてあるのはなぜでしょう。その理由は、会社には社員の健康状態を把握する必要があるためです。

まず、病歴が個人情報であるにもかかわらず、会社が求職者から健康状態を聞き出してもよいのは「職業安定法」第5条の4によって「業務に必要な範囲ならば個人情報を収集・保管してもよい」と定められているからです。

会社も、業務に差し支えなく健康に働ける人を採用するに越したことはありません。これから共に会社を支える社員を選考するわけですから、健康に働けるかどうかは、選考基準の重要なポイントになっていきます。

それだけでなく、採用後に社員が健康で安全に働けるよう、履歴書を通して病気や病歴を把握しておくという意図もあります。

例えば、持病によって差し支える内容の業務があるならば、その人にはほかの業務を担当してもらったり、周囲のバックアップの態勢を整えたりする配慮が必要となります。

また会社は、労働契約法5条によって「社員の生命や安全を確保するために必要な配慮を施すこと」が義務づけられ、社員ひとりひとりの健康状態を把握しておくことが求められています。

これは、どの社員も安全で健康に業務が遂行できるよう、会社側は社員の健康管理をしたり、快適な職場環境を保たなければならない、いうことです。

もし勤務中にある社員の具合が悪くなった場合、その社員に持病や服用中の薬があるのとないのとでは、適切な対処の仕方が変わってくることがあります。

それなのに会社が社員の持病や病歴を把握していなければ、判断を誤って適切な対応ができなくなる可能性が出てきます。

こういったトラブルをなくすためにも、あらかじめ求職者の持病や病歴を知ることがとても重要になっているのです。

健康状態は、どれくらい採用に影響するのか

求職者は「履歴書に持病や病歴を書くと、採用に不利になるのではないか」と多少なりともの不安をおぼえます。健康状態はどれくらい採用に影響するのでしょうか?

やはり会社側としても、健康状態に問題ない求職者のほうが安心して採用できます。

ただ、健康状態の記載欄に健康上の問題点が書いてあったからといって、必ずしも採用が不利になるということではありません。

持病や病歴があっても業務に差し支えがなければ、採用の可否にはあまり影響しません。もちろん求職者のスキルや人柄などが重要なので、健康状態も含めて総合的な判断で、採用の可否が決まります。

持病や病歴を伝えるメリットは

履歴書に健康上の問題を申告しておくことには、メリットもあります。

自身の健康状態をきちんと把握できている人、前もって持病や病歴をきちんと報告できる人は、人事担当者の心証も良いはずです。

また、健康上の問題があっても先に申告していれば、採用後には健康状態に合わせたシフトを調整してもらえるので働きやすくなります。

一方で、よく考えずに健康上の問題を書き連ねると、印象が悪くなって不採用になってしまうこともあり得るのです。

つまり、履歴書を記入する際には、事実を正確に伝える必要もありますが、不要に誤解を招いたり採用が不利になったりするような書き方をしないことが大切だといえるのです。

では、健康な場合、持病や病歴がある場合の履歴書の書き方をチェックしていきましょう。

簡潔でわかりやすく!健康状態に問題がない場合の記載法は

健康な人は、記載欄に「良好」と書きます。

履歴書の記載欄は、簡潔でわかりやすく記入することが大切なので、基本的にはその一言で問題ありません。

健康である旨を知らせることが大切です。健康上の問題がない場合でも、空白で提出するのは避けましょう。

履歴書の記入欄は空白にせず、何か記入するのが基本です。
「なし」はナシ!履歴書の本人希望記入欄の意義と記入例もご覧ください。

「健康状態が良好」の目安は

自身の健康状態を自分で「良好」と言い切ってしまっていいのか、迷う人も多いと思います。

まず、履歴書に申告する場合の「良好な健康状態」とは「業務にさしつかえる持病や病歴などがない状態」を指すことを把握しておきましょう。まったく不調がない状態というわけではありません。

誰でも、日常的に、肩がこったり胃もたれがしたり…といったちょっとした不調があるものです。これくらいの不調ならば業務は遂行できますので、健康の範ちゅうにおさまると考えます。

たとえば、次に挙げるような体調も「良好」と記載して問題ありません。

  • 一時的な体調不良がある(風邪、胃腸炎、軽いケガ、筋肉痛、二日酔いなど)
  • 過去に病気や怪我をしているが、現在は完治し症状が出ていない
  • 持病はあるが、業務には影響がない(高血圧症、糖尿病、アレルギー体質など)
  • 体調を崩すことがあっても薬や休息で改善できる(生理痛・片頭痛・胃が弱い、など)

履歴書には、ちょっとした不調まで詳しく記載する必要はありません。会社側も、業務に関係ない情報までは特に求めていないためです。

ちょっとした不調があっても「良好」と申告することが虚偽申告(ウソの申告)になるわけではないので、言い切ってしまっても大丈夫です。

健康さを武器にしたい人は具体的なアピール文を!

もちろん「良好」と一言書くだけでよいのですが、健康に自信のある人はそれが武器になりますから、この記載欄を利用して健康さをアピールしましょう。

「良好」を「きわめて良好」に変えてみましょう。「きわめて」をつけると、ぐっと健康的な印象へ変わりますよね。

また、健康自慢になるようなエピソードも有効です。「健康状態は(きわめて)良好です。」に続き、次に挙げるようなアピール文を記載します。

  • ここ○年は病気をしていません。
  • 前職では無遅刻・無欠勤でした。
  • 体力には自信があり、風邪は一晩寝るだけで治ります。
  • 学生の時は、無遅刻・無欠席で皆勤賞をもらっていました。

より具体的な感じがして、強く印象に残ると思いませんか。

持病があるが業務に差し支えない場合は

現在持病があって通院や投薬をしていても、業務に差し支えがない場合は「良好」と記載することができます。

たとえば、高血圧症や糖尿病、アレルギー疾患などは定期的な通院や投薬が必要になる場合もあるのですが、業務が遂行できる健康状態ならば、会社が病気のことを知らなくても問題にはなりません。

病気が理由で退職したことは伝えるべきか

病気が理由で前職を退職している場合も、現在の健康状態に問題がなければ、転職にはさしつかえがないので「良好」と記載します。

病気が理由で退職した旨を報告する必要はありません。もし記載する場合は「病気は完治しており、業務には差し支えはありません。」と伝えましょう。

マイナスイメージを与えないこと!持病や後遺症などの書き方

持病がある、または過去にした病気やケガの後遺症があって、業務に差し支える可能性がある場合は、履歴書に必ずその旨を記載しましょう。

職種・業種によっては、健康状態が採用の可否に大きく関係することもあります。

たとえば、運動機能に後遺症があると、肉体労働が中心となる業務には差し支えが出ると考えられます。

また、薬を服用しているため副作用で眠気が出やすい人は、乗り物や機械の運転は避けなければなりません。

会社は業務を円滑に進めるため、また社員の安全と健康を守るため、求職者に健康上の問題がある場合は、慎重に検討して採用の可否を判断します。そして、採用後のシフトやバックアップ体制を調整します。

もし、社員が業務に差し支えるような持病や後遺症を会社に申告しないで業務にあたると、トラブルや事故を起こす危険性が生じます。損害を出したり健康を損ねたりしてから後悔しても取り返しがつきません。きちんと健康状態を会社に伝えましょう。

業務に差し支える持病は必ず記載する

業務の内容によっては差し支えがある場合は、その旨を履歴書に記載します。

    <例>

  • 良好(ただし椎間板ヘルニアがあるので、重い荷物を持つことはできません。)
  • 腰痛があり重い荷物は持てませんが、デスクワークには差し支えありません。
  • 通常の業務に支障はありませんが、膝を傷めており激しい運動はできません。

その際、履歴書にただ体調を申告するだけ、というのはNGです。

「業務に差し支えない」「○○ならできる」といったフォローを入れ「持病や後遺症があっても、その会社に貢献する熱意がある」ということが会社に伝わるようにするのがポイントです。

通院などで休みが必要になる場合も伝えておく

業務が通常通りに遂行できる人でも、通院などで仕事を休んだり途中で抜けたりする可能性があれば、採用前にその旨を知らせておく必要があります。

どのような理由(病気)があり、どれくらいの頻度で休みが必要になるのか、などをわかりやすく記載しましょう。

    <例>

  • ○○(持病)があり通院が必要なため、月に1回半休をいただきたく存じます。
  • 良好(月〇回、○○の薬を受け取りに行く必要があります。)
  • ○○のリハビリをするため、整形外科に月1回通院しています。

その際「健康状態は良好ですが」「業務に支障はありませんが」などと記載し、あくまでも業務には支障のない体調だということしっかりアピールしておきましょう。

履歴書では適切なかたちで健康状態を申告しておこう

求職する立場で「持病があるので、この作業はできない」「通院のために休みがほしい」と会社に申し出ると採用が不利になりそうで、ちょっと勇気がいるかもしれませんね。

しかし、仮にその旨を申告せずに採用された場合、いざ通院のために「休みたい」と会社に申し出ると「そんなことは聞いていなかった!」と問題になる可能性があります。

最悪の場合、虚偽の申告をしたとして解雇処分されるので、履歴書には適切なかたちで健康状態を申告するようにしてください。

では、最後におさらいです。

履歴書に健康状態を記載する時のポイント
  • 業務に支障ない場合は「良好」と書く
  • 健康に自信のある人は「きわめて良好」と書いて健康状態をアピールする
  • 業務に支障をきたす可能性がある場合は、持病等を記入しておく

健康状態を書いた一文が、採用を左右する可能性があります。同じ提出するなら、少しでも有利になるような履歴書を作成したいものですね。

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