転職率からわかる現在の転職事情と採用市場。今後は増加する?

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就職・転職市場を見るに辺りあらゆるデータを元に論じられることとなります。例えば、一番使われる指標としては、有効求人倍率が頭に浮かぶ方も多いでしょう。

有効求人倍率は求職者と求人数を比較した数値となりますので、この数値を見ることで、採用側が人を選べる状態なのか、はたまた求職者側に有利な市場なのかを語ることが可能となります。

そして、今回ご紹介する数値は転職率というデータです。離職率のことではないの?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが離職率と転職率は異なります。では、転職率はどのようなものなのでしょうか。

本編では転職率と転職率からわかる日本の採用市場の現状についてご説明をさせていただきたいと思います

転職率ってどんな指標?転職率の定義

まずは転職率の定義についてお伝えしたいと思います。

転職率とは、一定の期間内での労働者全体に占める転職者の割合のことで、計算式は転職者数÷総労働者数という形で産出することとなります。また、厚生労働省の統計においては、転職者比率という言い方もされます。

この数値から何を見るのかというと、この計算式からどれだけの人が一定期間に転職をしているのかという市場全体の状況を確認するのに使います。ちなみに、離職率は離職者数÷総労働者数というのが数式になりますがそのターゲットは少し変わってきます。

どういうことなのかというと、離職率を語るときは、一般的に1社あたりの単位でみることになります。

つまり、1年間という単位で離職率を見た場合、1年間で全社員のうちどれくらいが会社を辞めているのかという会社の労働上における健全性を見るときに使うことが多いです。

もっと端的な言い方をすればブラック企業かどうかを見るときに使うと考えてもらえたら良いでしょう。

少し話がそれましたが、転職率というのは、世の中で転職をする人が多いのか少ないのかという、採用・転職市場の状況を確認するためのもの、離職率は1社に対してのブラック診断をするためのものであると考えておきましょう。

実際のデータはどうなっている?日本の転職率

では、今の転職率は一体どうなっているのかを見てみましょう。総務省の調査によると下記のような調査結果が出ています。

  • 2016年:4.8%
  • 2015年:4.7%
  • 2014年:4.6%
  • 2013年:4.5%
  • 2012年:4.6%

上記の数値を見て、気が付いた方もいらっしゃるかもしれませんが実はここ5年間であまり転職率は変わっておらず、微増傾向にあるという程度です。

求人が増えていて、転職できる環境にはあるものの、転職する人一見はそんなに増えていないのです。

とはいえ、ここでポイントとしてお伝えしたいことは、転職率が減らず増えていること、ずっと同じような数値をキープしていることです。では、それはどういうことなのかというと次の章でお話をさせていただきたいと思います。

なぜ転職率が微増しているのか?労働市場の中で起きていること

では、なぜ上記のように転職率は横ばい気味・微増をしているのでしょうか。それには以下の要因があります。

  • 労働市場の欧米化が日本でも進んでいる
  • 求人数が年々増えており、転職をしようと思えばできる環境下にあること
  • 誰でも転職ができるわけではない

では、それぞれ詳細に説明をさせていただきたいと思います。

労働市場の欧米化が日本でも進んでいる

従来の日本の労働に関しては家族的経営というのが通常で、年功序列型、終身雇用というスタイルが当たり前でした。高度経済成長期という経済的な背景もあり、日本企業はそれでうまくやって行くことができました。

しかし、1990年代にバブルが崩壊し、日本企業の特徴である年功序列、終身雇用というやり方では企業の利益が先細ることになるため、年功序列、終身雇用というスタイルで事業を継続できない会社が続々出てきました。

そこで各企業がとったのが成果主義です。

成果を出した人にはお金を出す、そうではない人には年収を維持させない、場合によっては会社を辞めてもらうよう仕向けるという欧米でとられている手法を日本企業各社が取るようになり、会社の給与の支払い方が欧米に近づいてきました。

つまり、会社が従業員を守るという時代に終焉を迎えたということになります。自分の身を守るためには自分で何とかしなければならないという土壌が出来上がってきたということになります。

これに加え、転職エージェントというアメリカの転職手法が日本にも導入されることとなり、職業安定法という法律が改正されたことからハローワーク以外の民間企業が職業紹介を行うことが日本でも許されることになりました。

これにより、転職を行いやすい環境ができあがり、日本人の考え方としてあった定年まで勤めあげるメリットが少なくなってきたことがベースとなり、転職がコンスタントに行われるようになりました。

こうして、賃金制度が欧米化され、欧米の転職サービスが日本に浸透したことにより日本の転職市場の欧米化が進んできたということができます。

求人数が年々増えており、転職をしようと思えばできる環境下にあること

実体経済はともかくとして、日本の経済状況は非常に良好となっています。事実、アベノミクスが始まって以降、日経平均株価は上昇の一途をたどり、成長目標には達していないものの、確実に経済状況は好転してきました。

これに加え、少子高齢化が進み、定年の方の枠を埋めるような採用も進んできています。そのため、求人数は確実に増えてきています。

上述で 転職率が減らず増えていることがポイントとお伝えしましたが、本来あるべき姿は転職率が徐々に減っていく形です。一時的に求人は増えたとしても、採用枠が埋まれば徐々に転職率は減っていくはずです。

にも拘らず転職率が微増しているということは、採用が決まり、求人がクローズしたとしても、別に新たに求人が発生し、どんどん採用が決定しているため転職率が年々微増してきているのです。

採用が決まっても決まっても求人数が増えてきており、転職しようと思えば転職できるような状況となっているのが直近の転職率の数値に現れているのです。

誰でも転職ができるわけではない

矛盾したことをお伝えしたいと思いますが、転職率が激増しない背景がもう1つあります。それは採用側は求人を増やしていますが、それは誰でもよいという訳ではないということです。

つまり、採用に関しては、これまでの経験、年齢、人物面などあらゆる面で絞り込みをかけてながら行っているということなのです。これも当たり前の話ですが、採用は事業を継続を担える人物を採用することに意義があります。

そのため、スキル面は当然ながら、短期的に辞められてしまっては困るため、ある程度長期的に就労してくれそうな人材を採用することとなります。

加えて、社内で連携しないと仕事が進まないため、人物面の確認も行います。すなわち、一緒に働きたい、働ける人物などという要素も採用のポイントとなり、あらゆる要件が備わり始めて成立するとなります。

このように簡単に採用が決まるわけではないので、採用決定・転職が成立するまで一定期間を要することになります。この転職率の微増というのは1採用に対して簡単に決着しないということも要因となっています。

つまり、上述の転職率は確実に欧米化が進んでおり、転職ということがもはや当たり前になっていることに加え、求人が増えるだけの経済要因、労働人口総数が減少していることもあり求人が増える状況となっています。

しかし、誰でもOKという安易な採用は各社行っておらず採用も徐々に充足してくることとなるため、一気に採用が決まっていくわけではありません。それが転職率が安定した数値で現れていると言えるのです。

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これから転職率は増えてくる?労働法制度の変化と起きうること

では、今後転職率は一体どのようなことになってくるのでしょうか。結論からいえば、今後も微増となるが確実に増えてくるということが予想されます。なぜなのかというと、労働法制がかわってくるからです。

どういうことなのかというと、2017年に働き方改革法案が閣議決定されましたが、この影響を大きく受けることになるということです。では、この働き方改革法案で何が変わるのかというと以下の通りです。

  • 残業時間の罰則付き上限規制
  • 非正規と正社員の格差是正
  • 高度プロフェッショナル制度の創設

では、それぞれ詳細にご説明をします。

残業時間の罰則付き上限規制

これまで、残業時間に関しては、残業代さえ支払えば、実質何時間でも残業することができました。しかし、今後は残業時間の限度時間が、厳しく取り締まられることになります。

そのため、今後は残業時間に関して原則月45時間かつ年360時間以内、繁忙期においても月100時間未満、年720時間以内ということが厳しく行政からチェックされることとなります。

そのため、効率的に仕事を進めることが求められることとなります。

一見これは良さそうに思えるかもしれませんが、この施策により労働者に不利になることがあります。それは残業代がもらえなくなるということです。

実際、みずほ総合研究所の調査では、この働き方改革の残業時間規制で5.6兆円の残業代が支払われなくなるという調査も出ています。

今までは会社にしがみついていれば年功序列型賃金で確実に年収を上げることができましたし、成果主義が導入されて以降も残業代で目の前のお金を稼ぐことも成立していました。

しかし、残業代を稼ぐという最後の砦がなくなってしまった以上、会社にしがみついていても年収が上がりません。そのため、より良い環境を求め転職を考える方というのも増えてくることが予想されます。

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非正規と正社員の格差是正

労働法の世界には同一労働同一賃金という考え方がありますが、現状この原則は形骸化しています。例えばある会社には秘書業務を行っている正社員と派遣社員が混在している会社があります。

現状は珍しくない話ではありますが、同一労働同一賃金の観点からすると、役職が違わない限りこの状況は望ましい状況とは言えません。

今後、働き方改革においては正社員化推進の動きと上記のような状況とならないようにするためのガイドラインを整備することとなっています。

少し時間はかかりますが徐々に非正規雇用から正規社員への動きが加速化し、こちらも転職率をキープ・上昇をさせる要因となり得ます。

高度プロフェッショナル制度の創設

高度プロフェッショナル制度とは、残業代ゼロ法案やホワイトカラー・エグゼンプションなどとも呼ばれている制度で、年収1075万円以上の一定の業種の方を労基法による労働時間、休日等の規制対象から除外する制度です。

つまり、原則月45時間かつ年360時間以内という残業時間、週休2日というルールの適用除外になるような働き方となります。

このルールは年収1075万円という縛りがあり、適用職種も限定されますのですぐに転職率に影響はしないでしょう。しかし、このようなルールはなし崩し的に緩和されてくるというのが通例です。

そのため、年収1000万円、900万円と適用下限が下がり、適用職種も拡大してくることが予想されます。そして、それにより、高度プロフェッショナル制度に該当する社員に対応業務を増やす会社も増加してきます。

ここでは詳細は割愛しますが、場合によっては年収は増えても支払う税金が増え、手取り金額が減り、年収は減る、仕事は増えるという状況も生まれ、ハイクラスの方がより良い環境を求め転職を考えるというケースが増えることも予想されます。

結果、転職率の維持・上昇につながってきます。

日本人は転職は嫌い!でも転職する人は増えてくる

ここまで転職をする人は多くいらっしゃるし、今後も確実に転職者が増えるとお話をさせて頂きましたが、日本人は帰属意識が強いためそもそもは転職を積極的にしようとする国民性ではありません。

これだけ求人が氾濫している中で転職率が4%台で収まっているというのはその国民性を示していると言えます。事実、転職大国といわれるアメリカでは転職率が30%もあり、その水準は遥かに低いと言えます。

しかし、働き方、制度、労働に対する考え方は確実に欧米化されてきており、バブル後に導入された成果主義、転職エージェントの増加、残業代がなくなるといったアメリカの労働環境に近づいてきています。

これが良い、悪いをここで論じることはありませんが、確実に転職率が増える環境、すなわちより良い環境を求め転職をするという状況が生まれてくるのです。

このような時代になるからこそ、会社に依存する、会社のために働くという意識も重要ですがそれ以上に自分がどうしたいのか、何を仕事で実現したいのかをはっきりさせないことには、短時間で成果を出して、給料を上げることはできないでしょう。

そういうことを意識して自身のキャリアを形成していきましょう。

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