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男女別、上司のパワハラ例。被害に遭ったらすべき8つの対処法
パワハラ――いつの時代にもそう呼ばれる上下関係は必ずあり、扱いが非常に難しいテーマです。パワハラは「パワー・ハラスメント」の略称。要は上役が権力を振りかざして部下をいじめる行為のことです。
上司からのパワハラを受けた部下は、上司を無視するわけにもいかず、ストレスがたまります。やがて辞めたい気持ちが募り、それでも我慢を続けるとうつ病などの疾患を発症する事例もあります。
そして、上司のパワハラが原因で転職を考える人もいます。
パワハラは、「上司が権力を振りかざして部下をいじめる」ことです。近年パワハラ被害の問題が増加・深刻化してきていますが、その理由は、パワハラは簡単に解決できる問題ではないからです。
そこで、「上司による部下へのいじめ」と単純に解釈するのではなく、もう少しパワハラが起こるパターンを細分化して検証してみる必要があるかもしれません。
いつ被害に遭うかわからない!起こりうるパワハラのパターン
まずはパワハラとは何かを知っておく必要があります。上司が部下に対して適切な指示を出したのであれば、それはパワハラとは呼びませんよね?ここで勘違いする人は多くないと思います。
ただ、指示ではなく「アドバイス」となると、誤解が生じやすくなります。アドバイスは、部下にとってプラスになり、成長を促す上で重要な上司の考え方です。まずはパワハラとアドバイスの違いを理解しましょう。
アドバイス・命令 | パワハラ | |
---|---|---|
目的の違い | 部下の向上や成長 |
|
業務上の必要性の有無 | 業務上必要であり、職場環境の向上のための言動 |
|
上司の態度 | 高圧的でない(いつもと同じ) | 高圧的、威圧的、否定的、批判的 |
発動のタイミング |
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|
利害関係 | 当事者を含む組織全体にとって利益がある | 組織・上司にとっての利益が優先され、部下にとって不利益がある |
上司の感情の表現 | 平穏/いつもどおり | イライラ・怒り・冷たい・不安をあおる・さげすむ・嫌悪感をあらわす |
命令・指示発動後の変化 |
|
|
(表の参考:パワー・ハラスメント防止ハンドブック-人事院より)
部下を持つ立場の人は、上記の点には十分注意して、適切かつ有効なアドバイス・命令を部下に送っていただきたいと思います。また、部下の人は上司の言動がパワハラであるかどうかを精査する必要があります。
パワハラであると感じたら、何らかの対策を考えなければなりません。ひとりで悩まず、信頼できる相手に相談するなどの策が必要になります。詳細は後述します。
さて、パワハラのパターンの分類法はいろいろあると思いますが、最もシンプルな分け方は、やはり「男女別」でしょうね。同じ職場で働いていたとしても、男性か女性かによって考え方が異なるのが自然です。
男女別で考えたとき、→をパワハラのベクトルとすると、起こりうるパワハラのパターンは
- 男性上司 → 男性部下
- 男性上司 → 女性部下
- 女性上司 → 男性部下
- 女性上司 → 女性部下
の全部で4通り。このそれぞれのパターンでどのようなパワハラが一般的に行われることが多いのかを考え、それぞれの対処方法を考えればよいわけですね。
男性部下に対して行われるパワハラのパターン
同性であれ異性であれ、尊敬できる上司であればちょっと強い口調で何かを指摘されてもパワハラとは思わないでしょう。女性部下は口調という「パワー」を感じることもあるかもしれませんが、男性は大丈夫な場合が多いです。
問題は、いろいろな理由で「尊敬できない上司」からあれこれ強い口調で指摘をされたり、暴力的な行為を働かれたりするケースでしょう。たとえば、同期や年下の男性上司が横暴な言動を働いたケースですね。
同年代だからこそ、相手(部下)のウィークポイントがわかる。悪意があると、意識的に何度も相手の弱みに付け込みます。自分が同じことをされたらどうだ?という想像力に乏しいとそういうことになります。
もしくは、転職や異動により新たに配属された近い年代の上司による、「この部署はこんな不効率なやり方してるの?」といった蔑視(べっし)、「俺たちはもっとうまくやってたよ」といった自慢の表現です。
アドバイスのつもりであっても、選択するワードや表情、もしくはその上司の人間性によって「自慢」に聞こえてしまうこともあるでしょう。1度だけならまだしも、これを繰り返すようだと悪意を感じます。
個人差はあっても、男性の場合「プライドを傷つけられる言動」をパワハラと感じる傾向が強いですね・・・受け取る側も発する側も、十分注意したいところです。
また、女性上司が男性部下に対して行うパワハラは、「男性→男性」とニュアンスは少々異なります。記憶に新しい某国会議員(当時)の女性が秘書の男性に対して働いたパワハラ・・・まああれは極端なケースですが。
ただ、基本的には男性部下のプライドを傷つけるという点で「女性→男性」のケースとほぼ同じであり、この男性部下に働くパワハラの本質(目的)でもあります。
男性上司が女性部下に対して行うパワハラのパターン
このケースのパワハラは、セクハラとも重なる部分が大きいため、非常にデリケートです。女性部下の身体に触れるなどのあからさまなセクハラではなくても、「女だから」という理由で圧をかければこれもセクハラですね。
※セクハラの定義については、こちらの記事で詳しく説明しています。
セクハラの定義にあてはまる行為と対策
ですから男性上司から女性部下へのパワハラは非常にデリケートなケースといえるのです。しかし明確なセクハラとは異なるパワハラも十分起こり得ます。このケースもやはり性差をパワハラの材料とします。
セクシャルな部分で性差を材料とするセクハラではなく、男性と女性のパワーバランスの差を悪用するのがパワハラですね。
- 性差を悪用した男性上司 → 女性部下のパワハラの例
-
- 怒鳴る(声の大きさ・太さで威圧)
- 上から見下ろす(背の高さで威圧)
- 机を叩くなどして大きな音を立てる(力の強さで威圧)
- 求められたアドバイスに応じない(睨みつけるなど視線の強さで威圧)
- 身体に触れて小さな痛みを与える(書類で頭を叩く、指で額をはじくなど)
- 家庭がある女性に対し量的に不当な仕事を強いる
- プライベートにかかわる嫌味(シングルの女性に対してなど)
- 身体的な嫌味(背格好や服装のセンスなど)
どれも女性としては非常につらいハラスメントですね。中には「仕事とは関係ねえだろ!」と逆ギレしたくなってしまうような(つまり小学生のような)、単なる「言いがかり」もあります。
このタイプの言いがかりは、仕事や人間関係を良好にするのではなく、嫌がらせが目的のパワハラになります。同じパワハラでもかなり悪質な部類ですね。低レベルの言いぐさではありますが。
女性の場合、やはり「性差」による圧を払いのけることが難しく感じられることが多いです。女性が退職・転職しなければならない理由として、パワハラが大きなウェートを占めるのもうなずけます。
女性上司が女性部下に対して行うパワハラのパターン
女性にとって、同じ女性の上司からのパワハラが一番こたえるのではないでしょうか?このケースは「男性→男性」のパターンと似ているところも大きいですね。
男性→男性の場合も、同年代だからこそ相手のウィークポイントがわかってしまう側面がありましたが、女性上司の女性部下に対するパワハラについても、やはり同性だからこそわかってしまうウィークポイントが狙われますね。
たとえば、なぜあなたはこんなこともできないのかとか、こうしたほうが良かったのにとアドバイスも与えず終わってから言うなど、どう考えてもイジワルでしかない不要なことばを投げかけることが多いです。
どのパターンもスポットを当てたパワハラだけがすべてではありません。もっといろいろなパターンがあるでしょう。たとえば
- 仕事を与えない(話しかけても無視される場合も含む)
- 仲間外れ(グループに割り振らない)
- 雑用ばかりさせる(お茶くみ、コピーのみ、掃除、電話番など)
- 出張の費用(交通費など)を自費で支払わせる(←筆者が実際に経験したパワハラ)
- 残業代を支払わない(あらかじめ給料に含んでいる不当な「みなし残業」も含む)
といったさまざま、かなり低レベルのパワハラの事例も報告されています。筆者はひと腐れ苦情を入れてとっとと転職しましたが、最大の問題は、パターンで行われるパワハラにどう対処すべきかですね。
筆者のようにきれいさっぱり転職をするのもひとつ、その会社にこだわって解決策を講じるのもひとつ・・・考え方は実際にどんなパワハラを受けたのか、その人によって異なります。
あまりにもこだわりすぎてうつ病になってしまったなどという残念な顛末を迎えるくらいなら、さっさと退職して転職したほうがいいかな、などと思う側面もありますが、対処法を考えるのも悪くはありません。
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職場のいじめ
パワハラには絶対に屈しない!パワハラ対処法
パワハラをどう撃退するかを考えます。そのためには、まずは上司のどういった言動がパワハラに相当するのかをしっかりと理解する必要があります。人間的にキライだからなんでもかんでも「パワハラだ!」と決めつけるのはNGです。
パワハラを撃退するためには、感情に突っ走ってはうまくいきません。冷静に、できるだけクレバーに対処する必要があります。
仕返ししてやる!クビに追いやってやる!など、感情に先走った発想は安易になりがち。良いことなどありません。
結果的に仕返しとなった、クビに追いやったとしても、それはあくまでも不可抗力でなければなりません・・・などと少々不穏な言い方になってしまいましたが、実際、作戦によっては起こりえます。
さて、どんな方法があるのかというと・・・
- パワハラ撃退法
-
- パワハラ上司のさらにその上司(信頼できる人に限る)に相談する
- 社内の相談窓口、対策室、組合などに相談を持ち掛ける
- 厚労省管轄のサイト・窓口などを利用する
- パワハラの事実を記録しておく(都度メモに記録する、マイクで録音するなど)
- 「それはパワハラです!」とはっきり告げて不当な命令を拒否する
- 同じ被害に遭っている仲間と力を合わせ社内告発する
- 弁護士に相談するなど、法的手段に訴える
- あえて事を荒立てず退職し、転職する
上司の上司に相談するという方法で注意すべきは、相談する上司の上司が信頼できる人である場合のみです。人望が厚く、優秀な人材であり、個人的にではなく、多くの部下が信頼を置く人格者である必要があります。
どんなに優れた人でも、パワハラ上司の悪行をチェックしていないという「抜け目」はすでにあるので、頭ごなしに信頼してしまうのは危険です。完全に信頼できる人だけが相談の対象です。
また第三者、公的機関の専用窓口へ相談するのがおすすめです。
パワハラ被害は公的機関に相談を!無料で相談できる機関を紹介
パワハラの事実の記録については、後々法的手段に訴える場合には、細かい日時や内容、具体的なことばや態度などが重要な証拠になります。マイクを購入して音声を記録するのも有効です。
ただ近年では、かなり長時間記録できるマイク機能があるスマホアプリもありますので、そういったツールを駆使するのも良いでしょう。社内告発や上司の上司に実情を知ってもらうときにも有効です。
「パワハラです!」を当人の前でぶちまけるのは、なかなか勇気が要るところかと思います。ただ、パワハラをするような人間は、「攻撃は最大の防御」と考える単純な人が多いこともまた事実。
それゆえ「自分が攻撃されるかもしれない」という発想がそもそもないため、いざとなると弱腰になってしまうこともけっこう多いです(レスリングの「エライおじさん」もそんな感じですよね?)。
ただし、「自分はパワハラなんてまったくしていない!」と本気で思っている上司には、この作戦は不発です。そういう場合、ほんとうにパワハラをしているのであれば、第三者の力が必要になるでしょう。
とはいえ「クロかも・・・」という意識があるなら、この作戦、効果テキメンでしょうね。「法的手段」や「退職・転職」などは、正直最後の手段と考えるべきでしょう。
パワハラ上司をぎゃふんといわせることが目的ではありません。事を荒立てなくても済む範囲であれば、会社内で解決をはかるのがベストです。暴行や傷害といった刑事訴訟のレベルでは、迷いなく法的手段ですね。
退職・転職に関しては、あくまでも「あえて」です。あえてというのは、筆者の退職・転職の経験でいえば、「会社や人に魅力がなかった」ということになります。要は「パワハラ前に辞めたいと思っていた」ということですね。
パワハラはむしろ会社を辞める良いきっかけだったと解釈しています。そういう会社かなぁ・・・というのがだんだんわかってきていたので、ちょっと頑張って退職し、無事転職しました。
法的手段にしろ退職・転職にしろ、最大のポイントは「パワハラ被害その後」です。法的手段の場合、やはり罪をつぐなうのも社会的責任のまっとうの仕方であるという厳しい意識が必要でしょうね。
退職や転職は、そうすることによってパワハラ被害者がより大きなメリットを得られるのかどうかが最大のポイントになります。その会社や仕事が好きだけど退職して転職した・・・それでもメリットがあるのか否か。
ここが決断のための最大のポイントになります。だからこそ感情に先走らず、じっくり考えて、ご自身にとって最善の道を選択すべきなのです。たとえパワハラの相手に原因がある問題であったとしても、です。
いつパワハラに遭うかわからない。そして上司になったら加害者にならないように
パワハラは、働いている上司のほうは、たいてい事の重大さに気づいていない場合が多いです。悪意がなかった場合はもちろん、仮に悪意があったとしても、「このくらい大丈夫だろう」と安易に考えがちです。
ということは、会社勤めをしている以上、「いつパワハラ遭うかわからない」という意識がある程度必要になってくるのかもしれませんね。いや、脅かしているわけではないんですよ。でも・・・です。
と同時に、ご自身が上司になったときに、我知らず部下に対してパワハラをしているなどという事態を招かないともかぎりません。パワハラは、よほど注意していなければ、被害者にも加害者にもなりうると考えるべきでしょう。
パワハラ被害に遭った場合には、とにかくひとりで悩まないこと、そして最悪の場合には法的手段に訴えたり退職・転職を視野に入れたりと、幅広い選択肢をイメージして柔軟に対応していただきたいと思います。
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