雇用保険法改正の内容をわかりやすく解説。私たちへの影響は?

平成29年4月1日から段階的に雇用保険法等の一部を改正する法律が施行されました。

今回は雇用保険法の他に、徴収法、育児・介護休業法、職業安定法の一部もそれぞれ改正されています。

いろいろなことが変わってきましたし、実際は育児介護関係のところがかかわりが大きいですが、ここでは、一番転職時に関わる可能性の高い失業時に関した内容が多い雇用保険法を中心に考えます。

改正雇用保険法の概要はどんな感じなのか?

では、実際に改正された内容を見ていただきましょう。内容としては、失業等給付の拡充についてで、暫定措置の見直しと基本手当の拡充になっています。

見直しと聞くといい意味にとらえがちに思えるかもしれませんが、見直しというのは必ずしもそういうことではないので、人によっては改正ではなく改悪と捉えてしまうかもしれません。

改正雇用促進法(2017年3月31日成立)は、就業促進および雇用継続を通じた職業の安定を図るためのものです。

雇用保険の失業等給付の拡充、失業等給付に係る保険料率の引下げおよび育児休業に係る制度の見直しを行いました。

また、職業紹介の機能強化及び求人情報等の適正化等の措置を講ずるとして施行されました。

失業等給付の拡充

以下の5つが改正されました。

雇用情勢の悪い地域および災害による離職者への対応について

2017年年4月1日から、雇用情勢が良くない地域に住んでいる人の給付日数を60日延長する暫定措置を5年間実施することになりました。

また、地震などの災害により離職した人の給付日数を原則60日(最大120日)まで延長することが可能になりました。これに伴い、リーマンショック時につくられたされた暫定措置は終了することとなりました。

雇止めされた場合の所定給付日数の変更

2017年4月1日から、雇用契約が終了になった有期雇用労働者の所定給付日数を会社が倒産した時や会社都合解雇などの時と同等にする暫定措置を5年間実施することになりました。

人事の2018年問題ともいわれる無期転換ルールです。

労働契約法の改正されたことにより、同じ企業との間で有期労働契約が何回も続けて更新されてトータル5年を超えた時には、労働者からの申込により、無期労働契約に転換されるようになります。

このルールが本格的な運用が行われるようになります。

所定給付日数の引き上げ

2017年4月1日より、企業の倒産・会社都合解雇等により離職した30~45歳未満の人の所定給付日数が引き上がることになりました。30~35歳未満は90日から120日、35~45歳未満は90日から150日です。

賃金日額の引き下げ

2017年8月1日より、基本手当等の算定に使われる賃金日額については、直近の賃金分布等を基準にして、上限、下限額などの引き上げが行われました。

これは、賃金日額の下限額が最低賃金を下回ってしまう状態になったことに関連して、上限額と合わせて賃金日額の水準を見直すことになったからです。

新しくなった基本手当日額は136円~395円のアップになり、基本的に全受給者の給付される水準が良くなったこということになります。

なお、今後は最低賃金との逆転が起こることがないように賃金日額の下限額が最低賃金を基にして計算された賃金日額を下回ることになる場合にはその最低賃金日額を下限とすることになりました。

専門実践教育訓練給付の給付率の変更

2018年1月1日より、専門実践教育訓練給付という制度の給付率を、これまでの60%から最大70%に引き上げることになりました。

これまでは、教育や訓練にかかった費用の40%(資格を実際に取ることができた場合には20%追加で、合計60%)が給付されていました。しかし、改正後は40%から50%(同様の場合、20%追加で、合計60%から70%)に変更されました。

金額としては、これまでの上限だった年間32万円(資格が取得できた場合、16万円追加で合計48万円)だったのが、上限が40万円(資格を取得できた場合は変更せず16万円で、合計で56万円)になりました。

さらに、これまで45歳未満の離職者に関しては受講している間に基本手当の50%相当額を教育訓練支援給付金として支給するという措置だったのですが、これを80%にして、2021年度まで延長することになりました。

移転費の支給対象の拡大

2018年1月1日より、Uターン、Iターン、Jターンをしたいと思っている方を支援し、広域的に職業紹介などを進めていくため、移転費の支給対象を追加することになりました。

移転費の支給対象に転職エージェントなどの職業紹介事業者(ハローワークとの連携することに適さない場合は除外)などの紹介で就職する者が追加されるようになりました。

これまでは、移転費の支給対象はハローワークが紹介した職業に就職するなどに限定でしたので、よりUターン、Iターン、Jターンがしやすくなるのではないかと思います。

失業等給付の保険料率と国庫負担率の時限的引下げ(雇用保険法、徴収法)

雇用の情勢や雇用保険の財政状況などを照らし合わせて、2017年4月1日より2019年度まで失業等の給付に関わる原則の保険料率が一時的にに引き下げられることになりました。

原則の保険料が1.2%だったのですが、弾力条項によって2017年度は0.8%にもかかわらず、0.6%になっているのです。

育児休業に係る制度の見直し

2017年10月1日より、次のように改正されました。これは、待機児童が多いことにより、保育園などに入ることができない場合が残念ながら実際にあったします。

そこで離職をしなければいけないとか、せざる得ないというような状況にある労働者の雇用継続を実現させるための措置です。

①お子さんが、原則1歳までの育児休業を6カ月延長しても保育所に入れない場合などに限り、さらに6カ月(最長でお子さんが2歳まで)の再延長ができるようになりました。

②これはとてもありがたいことですが、育児休業の再延長に関連して、育児休業給付が支給される期間も延長されることになりました。

雇用保険二事業に係る生産性向上について

「被保険者等の職業の安定を図るため、労働生産性の向上につながるものとなるよう気を配りながら、行われるものとする」

上記のこちらを雇用保険二事業の理念に明記することになりました。

ちなみに、雇用保険二事業とは、失業等の給付額の減少を目指すため、失業の予防や、雇用期間の増大、労働者の能力開発等に関係する雇用対策に対する事業のことを言います。

ひとつは雇用安定事業というもので、なかなか狭き門になっている若年者や中高齢者、障害者を積極的に雇用する事業主を支援をしたり、創業や雇用を増やす事業主を支援する助成金があります。

また、中高年齢者等に対する再就職の重要性が高い求職者に対する再就職支援、若者や子育てをする女性に対する就労支援もあります。

こちらの事業は、求職者に直接何かをしてもらえるというよりも、求職者に再就職の機会を作ってもらえる企業を助けましょうという意味合いの方が強いです。

一方でもうひとつの事業は、能力開発事業で、求職者の人などに対しての訓練や、事業主が従業員に対して行う教育訓練への支援などを指します。

なお、2017年度の雇用保険二事業に関しては、労働者の職業能力の向上、人材のマッチング機能や機会の充実、雇用をしてもらえる所の確保および雇用管理の改善に重点的な予算配分をされています。

最近では、労働関係助成金の一部では労働生産性の向上い努めていて、結果も伴っていることが認められるとさらに、助成金の割り増しが行われています。

これを「生産性要件」と呼んでいますが、生産性要件が設定されている助成金は雇用の維持や障害者雇用の環境整備など一部の助成金を除いた以下の助成金が対象です。

ちなみに、生産性要件というのは、営業利益や従業員の人件費、設備などに関わる減価償却費などを数値化したものと考えてもらえればわかりやすいかと思います。

この数値化したものが良い状態と判断されるようになっていると、助成金などを通常よりも割り増しされてもらえるというものです。

職業紹介の機能強化及び求人情報の適正化

これは、職業安定法に関わる内容ですので、直接雇用保険法には関係しないのですが、求人情報等をより適切に開示することが求められるようになりました。

要するに、虚偽の内容や、誇張した内容などが表記されていて、実際に入社してみると、求人情報とかなり異なっていたとか、そんなはずではなかったと思えることが多いからでしょう。

2017年4月1日から、ハローワークや職業紹介事業者等の全ての求人について、一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者等の求人を受理しないことができるようになりました。

給料の記載があったにもかかわらず、その金額以下だったとか、研修時給料があるのに記載されていないとか、残業の規定などが曖昧な表現になっていたなどです。

法律というのはなかなか分かりにくいので、間違った解釈は危険

国会中継を聞いていると官僚の答弁とか聞いていると回りくどかったり、曖昧にわざといかようにも解釈できるような言い方をすることが多いと感じませんか?

そういったことからも感じられると思うのですが、法律の文言というのは、なかなか分かりくいです。そのため、どうしてもぱっと読んだだけでは理解がしにくいです。

ましてや、雇用保険というのは毎月なんとなく給料から天引きされていますので、それが当たり前になっていますし、失業手当を受給するということもそんなにありことではありません。

ですから、どうしてもわかりにくいですし、その時になってみないと実際どういうふうになるのかがわかりません。

どちらかというと、人事系のお仕事をしている人が一番理解しておかないといけないかもしれませんが、何日分もらえるかとかそういったことは知っておくぐらいはいいかもしれないです。

何かこういった内容に関して分からないことや困ってしまったことがあった場合は、人事部の人に相談されるか、ハローワークで聞かれるのが一番わかりやすいかもしれません。

改正雇用保険法は働き方などを考えさせるいい機会

改正雇用保険法は多くのことに対して改正が行われました。働く側としては、働きやすさを感じることになったことが多くなったかもしれません。

しかし、その分企業側にしてみれば、働き方改革を誘導するような機運が高まってきたというようにとらえることができるかも知れません。

これを機に、企業も働き方について改めて考えるいい機会にされるといいかもしれません。働く側としても、いろいろなことを提案したりする環境があるのであれば、いいチャンスになります。

この法律改正を機に働き方や少子高齢化に際して、高齢者や40代以上の積極採用に取り組んでいくことなど働く側だけでなく、どちらかというと会社側の意識改革が必要になってきます。

そういったことを促すための改正と考えるべきです。直接改正内容からは離れるかもしれませんが、仕事ってどういうものなのかということまで考える事ができるかもしれません。

そのくらい、働き方の多様性というものがこれだけ言われるようになってきたということが最も顕著にあらわれていることでしょう。